第九話 〜アスナが地球へ行くお話 前編【暁 Ver】
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心配もした。しかし、六課の皆を見る限りその心配はきっと。あたしの杞憂に終わるんだろう。神様へのお願いは外れることが多いが、自分の感はあまり外れたことはないのだ。
アスナの心は踊っていた。兄である桐生からずっと聞かされていた地球の話。興味がいつしか憧れへと変わりいつか訪れてみたいと思うようになったのだ。傍から見ても、はしゃぎすぎているような気もするが、それも仕方ないことだろう。何しろこれから行く地球の『日本』は兄の生れ故郷でもあるのだから。……厳密には違うのだが、アスナはそれを知らないし、知る必要もない。桐生も敢えて口にはしなかった。そんなことはアスナの憧れの前では──── 些末なことに過ぎないのだから。
「アスナ、少し落ち着こうよ。地球は逃げないし、もうヘリの中だから、ね」
「……スバルはどうしてそんなに落ち着いてるの? 大人だからか? ティアナみたいに下着もくろですか?」
「ティアが凄い目をして睨んでるから。こっち来て、座って。ね?」
「……ランスターの弾丸はちゃんと敵を撃ち抜けるんだって!」
ティアナの形相が、鬼もかくやといったものへ変わるのをスバルは確認すると、色々なものを諦める。そして、自分の鼓膜を守る為にそっと耳を塞いだのであった。
アスナは本当に困ったものだ。地球へ行くのが嬉しいのはわかるけど、遊びに行くわけじゃないのだから。現在アスナは、キャビンの片隅で正座させている。俯いているアスナをエリオとキャロが心配そうに見ているが、アレは間違いなく反省などしていない。時々捨てられた子犬のような目をしてあたしを見るので、飴玉を放ると大人しくなった。
あたしは手元にある端末でこれから行くことになる場所の資料を確認した。第97管理外世界『地球』。文化レベルB、魔法文化はなし、ね。エリオとキャロは魔法文化がないことに驚くと同時に、そんな世界から隊長陣のようなオーバーSランクの魔導師を輩出した事に驚いていた。あたしとスバルは、それほど驚いていない。それはなぜか──── そろそろ足が痺れてきたのか、挙動不審になってきたアスナをスバルと共に見る。あたし達から見ればリンカーコアもないのに、魔力を体内で生成出来る不思議生物が身近にいるからだ。
そろそろ転送ポートに到着しようという時に、八神部隊長から声がかかった。
「昨日ミーティングで説明したけども、一応説明しとくで? これから行く場所は管理外世界や。本来は、ウチから何か持ち込むのも、向こうから持ち帰るのもかなり厳しく制限されとる。忘れんといてな?」
八神部隊長の言うことは尤もで、そもそも正式な交流がないのだ。そんな世界から例えば……お互いの世界には存在しない固有種。つまり動物や昆虫。植
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