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空を駆ける姫御子
第九話 〜アスナが地球へ行くお話 前編【暁 Ver】
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──────── なんでこんなに赤い




 突然ではあるけれど『地球』と呼ばれる次元世界がある。あたし達は便宜上、次元世界と呼んでいるが正確には惑星。管理局に於ける正式名称は、『第97管理外世界』。……八神部隊長となのはさんの出身世界。六課の職員は大抵『ミッドチルダ』出身だが、それ以外の人間も勿論いる。キャロの出身世界である『第6管理世界』。ヴァイス陸曹は『第4管理世界』。スバルと仲が良いアルトは『第3管理世界』出身だ。

 管理局が『管理』している次元世界は数多あるが、高度な知的生命体……つまり、『人』が文明を築いている世界は少ない。稀少と言っても良いだろう。その殆どは『無人世界』だ。『人』が存在している現存の管理世界も全て平和的な交渉で管理世界となっている。武力を行使した事例などないし、過去に於いてもそんな事実はない。()()()()を混同している人が、ミッドチルダでも意外と多いのは事実だけど。

 さて。何故今更こんな話をしたのかと言うと、あたし達は現在ヴァイス陸曹が操縦するヘリに搭乗し転送ポートへと向かっている。……『地球』へ行く為に。






「いきなり部隊長室へ集合なんて、なんだろうね? ティア」

 あたし達が部隊長室へ向かって歩いている途中、スバルがアスナの着ているTシャツを凝視しながら、あたしへと問いかけてきた。正直に言えば、あたしに聞かれても困る。アラートも鳴っていないし、緊急事態ではないだろうけど。スバルの、お前がツッコめよと言わんばかりの視線を無視する。何も言わないあたしを恨めしそうに見ながらスバルは口を開いた。

「アスナ……そのTシャツなに?」

 言われた当の本人は意味がわからなかったのか、スバルの顔を見て少しだけ首を傾げた。

「いや、シャツ自体は変じゃないんだよ? ただ……なんで『勝ち組』って書いてあるの?」

「……私はなにもかもが、勝ち組だからな?」

「え、なんで?」

「……元お姫さまで、いまはお嬢さま。将来はお兄ちゃんに養ってもらうのが、きまっています。おまけに、美少女な。あと、プリンがすきです」

 スバルのこめかみに青筋が立っているのを横目で見ながら、足早に歩を進める。巻き込まれない為に。スバルは何かを言おうとしたようだが、結局黙る事を選択した。お姫様云々は、この娘の頭が残念なだけだが、他は間違っていないから始末が悪い。あと、プリンは関係ない。






「派遣任務、ですか?」

 部隊長室にはすでに殆どの人間が集まっており、あたし達が最後のようだった。八神部隊長はあたし達が入るのを見届けると経緯を話し始めた。

「聖王教会からの依頼でなぁ……向こうも人手不足やから仕方ないわ。んなも
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