第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
1−5
[10/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
目はまるで、――一年早く生まれたネジが彼女の母を見知っているのではないかと。そんな期待とも言えない空想があった。
その頃は物心もついていなかったさ。馬鹿じゃないのか、お前。そう返そうとしてやめた。そうだな、と目を瞑る。適当に答えて適当に夢を壊しておこう。
「お前の両親だから、背は高くなかったんだろうな。それで、どちらかがきっとお前みたいな髪の色してたんだろう」
マナをまじまじと見ながら、とりあえずマナの容姿を並べ立て、そしてその前に「お前みたいな」と付け加えれば意外に簡単なもんである。マナもまともな答えをもらえるとは期待していないらしい、ネジがでっちあげた両親の容姿を黙って聞いている。
「それでお前の両親だから、お前みたいになんでも食べるんだろうな。そして白眼使いに点穴をつかれでもしていたんだろう」
「おー。そんで?」
「それで、髪は天然パーマだな。目は黒。頭は空っぽ。脳味噌は胃の中、それで、それで……まあ、そんな感じだろう」
「ありがとうございます、ネジ先輩」
ネジ先輩って、家族のこと大好きだったでしょう。そう言ってマナは軽く笑って見せた。ああそうだ、大好きだったさ。ネジは静かにそう答えた。気まずい沈黙が続き、お前はさっさと出て行けとネジはマナを睨んだ。へいへいと笑いながらマナと紅丸の足音が遠ざかっていく。
ゆっくりと目を瞑ると、浮んできたのは疲れで――ネジはそのまま寝ることにした。
「火影さまぁ、ハッカとガイとその生徒たちの合同任務、なんで私もご一緒させてくれなかったですー?」
悲鳴じみた声を上げて飛び込んできた彼女は、ハッカとガイと同班だったくノ一、ユナトだ。現在は火影邸の使用人になっている。一応中忍で、もうちょっと仕事を与えてやってもいいのだが……、本人が雑用好きでまたそれに向いていることもあり、だからいつまでたっても雑用である。敬語もちょいとおかしい。
「余りにも突然のことでなあ……わしも対応できんかった」
「火影さまうそつきです! きっと私がいくと事態がややこしくなるって思って行かせなかったです!」
火影を人差し指で指しつつ悲鳴のように嘘つきと喚くユナトもユナトだが、ヒルゼンがこのやり取りを楽しいと思っているのは事実だ。
「まあ……な」
「こっ、肯定するだなんて!」
肯定したらしたでやはり悲鳴じみた声をあげるユナト。その片腕は日に焼け、片腕は妙に白い。――そう、それこそが上忍シソ・ハッカが一番愛した女の腕。そしてガイとハッカとユナトの担当だった女の腕だ。
「まあ、もう過ぎたことじゃろう?」
「でも今日ハッカとガイが音の国の奴等について調べるです。火影さまはそのことも教えてくれなかったです」
少しは落ち着いてきたのだろうか、声が比較的悲鳴っぽ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ