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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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 自分が私生児で、そして兄よりもずっとずっと父によく似ているということで、義母は絶対に自分を許さなかった。父は滝隠れにある由緒正しき忍の一族、だそうで、その一族は木ノ葉の日向のように皆外見が似たりよったりだったのだけれど、嫁いできた義母の息子である兄は母にそっくりで、あまり父には似ていなかった。義母にとってはおそらく「娼婦の産んだ」であろう、なのに父に瓜二つなこの血の繋がらない子供の存在が悔しく、憎らしい存在であったに違いない。
 義母と父はそのことでよく確執を起こしていた。兄は、お前の所為で、幸せだった家はめちゃくちゃだと罵った。八つ年上だった兄は今頃たぶん、三十四ほどになっていただろう。生きていればの話だが。そして十二でその兄を生んだ義母と十三でその義母と結婚した父はたぶん、五十六と五十七。やっぱり、生きていればの話。
 父は死んでも、義母と兄の言う「娼婦」の名前を明かそうとはしなかった。娼婦とかではないと自分は信じている。父はいつも自分に言っていた、お前の母親はとても綺麗で高貴な娘だから、けっして義母さんや兄さんが言うような娼婦ではないからと。とっても高貴な生まれの娘、優雅な娘、いつかお前にもあわせてやるぞと。
 義母は独占欲が強くはあったけれども、綺麗で、頭のいい女だった。兄は自分のことを決して許さなかったけれど、それでも面倒を見てくれたし、優しい人だった。父はとても厳格な人だった。
 あってみたいとおもった。父の言う綺麗で高貴な娘に。だから自分は、ずっと前からその娘がいるという木ノ葉に来ているけれども、その綺麗で高貴な娘に会えたことはない。
 
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