第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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ンちゃんに興味が出ちゃった?」
「違います! ――っとにかく、早く話を進めてください!!」
「やだ、そんなに声を荒げなくたっていいのにー。テンテンちゃん、山吹くんは優しくふわふわしてる女の子みたいに見えて実はすっごく怖いんだよおー」
肩を抱かれ、あからさまなひそひそ声で話しかけられたテンテンは思わず体を強張らせた。山吹の殺気が増す。そんなテンテンにニコニコしながらユナトは言う。
「さあて、そろそろ本題に入ろ?」
「私の名前はユナト、白腕のユナト。白腕って呼ばれてるのはこの腕の所為なんだけど。で、ところで山吹くん、テンテンちゃんはくノ一なんだ」
「く、くノ一!?」
山吹の驚いたような顔に、ユナトは満足げに笑う。ユナトの何人もいる手下は殆どがユナトに簡単な体術などを教わった百姓や一般人、孤児などで、その殆どが召使いなどとして様々な場所にもぐりこんでいる。ユナトが忍を手下にするというのは始めてだ。
「別にテンテンちゃんじゃなくてもよかったんだけど、やっぱ知り合いの子のほうが私としてもやりやすいから」
山吹は知っている。ユナトは本当に、別にテンテンじゃなくてもよかったのだろう。彼女と交流があるのは概ね上層部、上忍、特別上忍に一般人などで、だから下忍や中忍のことをそれほどよく把握はしていないのだろう。もし相手から情報を引き出し、それをそっくりそのままユナトに教えられるような下忍で、尚且つ九班に近しい下忍であれば誰でもよかったはずだ。
山吹もまた然り。ユナトは孤児の山吹を拾った。そして彼を拾い、懐いてきた山吹を自分の手下とした。もし山吹じゃないどこかの孤児が同じように路頭で彷徨っていて、もしその子の方が山吹より有能そうならユナトはそちらを選んでいたかもしれないのだ。
ユナトは山吹を愛してくれている。これは自惚れではない。ユナトは山吹を弟みたいに可愛がった。でもそれだけだ。他の子でもユナトはきっと弟妹のように可愛がっただろう。
山吹もテンテンも。つまり使いやすそうだと思われたからだろう。
しかしユナトに任務内容を説明されたテンテンの答えは予想外のものだった。
「――私には出来ません」
「え?」
「忍具買ってもらったのに恩を仇で返すようで悪いんですけど、マナやユヅルは確かに危険因子かもしれないし、マナと笑尾喇はすっごく厄介かもしれない。でも私、それでもマナやユヅルたちのこと気に入ってるんです。だから……私には私の気に入ってる後輩を監視して情報を取り出すなんてとても出来ないんです。本当にごめんなさい。……他を当たってくれますか」
お団子のお代と、この間の忍具のお金です。そう言ってお金をおくと、踵を翻して彼女は去っていく。
ぽかあん、という顔で、間抜け面を晒しつつユナトは座っていたが――、
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