第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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る、姉の人形となったアカデミー次席。餓死して滅びた狐者異一族の生き残り――と表ではそういわれている――恐ろしいまでの大食い少女に、犬神を宿したいじめられっ子だ。
どの班にだって一風変わった風景を持つ曲者や、担当上忍の頭を悩ませるクソガキはいるもんだが、こうも危険因子ばかりを一つの班に詰め込むのはどうかという考えも首を擡げはじめるがしかし、これも彼等を信頼している証拠だ。
決して他班の担当上忍である夕日紅や猿飛アスマを信頼しているというわけではない。だが紅は上忍に成り立てであるし、アスマは猪鹿蝶の班を纏めるのには猿飛の血を継ぐ彼が相応しいと判断したからというのもある。
しかしハッカを只でさえ問題児の多い班に入れたのはどうだっただろうかと今更ながら思う。
「とりあえず、万事任せてくださいです。実は今日その子と会う約束があるです」
「あ、……ああ、わかった。任せたぞ」
使用人にしては割りと好きに行動できているユナトだが、元々色んなところをうろちょろしているような女なのでいなくても怪しまれることは滅多にない。
口笛を歌いながら彼女が向かったのは森の中で、暫く歩くと、樹上にお団子を食べる少女と中性的な顔をした茶髪の少年が二人腰掛け、ちらちらとお互いに向かって視線を馳せていた。
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うちは一族のような悲劇が二度と起こらないように。
彼女は彼女の手下たちを使って各一族内部の情報収集や監視などを続けていた。
山吹もそんなユナトの手下の一人で、餓死しかけていたところをユナトに拾われたのだ。それからその体に基本的な体術や足音の消し方などを学び、今では一文字家にてはじめや当主一矢の信頼を勝ち得るに至っている。
テンテンと出会ったのは彼女が忍具店でかなりの値段がつく巻き物を買うか買わないか迷っていた時に、それを買って彼女にあげたのが始まりだった。以来ユナトとテンテンのことを調べ始め、テンテンの忍具の狙いの的確さ――いざとなれば相手の急所をついて一撃で殺せることも出来る――に目をつけたのだ。
「テンテンちゃん、こっちの子は山吹くん、一文字家に仕えてるの。で、山吹くん、こっちがテンテンちゃん。可愛いでしょお」
「よ、よろしくお願いします」
「いえ、こちらこそ」
おずおずと頭を下げるテンテンに対し、山吹は堂々とした態度である。
テンテンは全く理解が出来なかった。何故自分が呼ばれたのだろう。それにこの一文字家に仕えているという少年は一体何者なのだろう?
「……ユナト様、貴女が私を及びしたのはお見合いの真似事でもするためでしょうか?」
いつまでも本題に入らないことに苛々したかのように口を開く山吹に、ユナトは目を丸くしてみせる。
「やだぁ、山吹くん、お見合いだと思ってたのー? それともテンテ
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