XI
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に連れてって……外から鍵をかけて……」
「閉じ込めたのか!?」
桐条先輩が驚きも露わに叫ぶ。
私だってそうだ。
もし、山岸さんが閉じ込められたまま零時を迎えてしまっていたならば……
「よ、夜中んなって自殺とかされるとマズおからってマキが一人で学校行ったんだ……でもマキ帰って来なくて、翌朝……」
「校門の前で倒れてた、か」
ゆかりの顔もまた険しい。
それだけ彼女らがやったことは悪質なのだ。
「風花を出さなきゃって体育館行ったらまだ鍵が掛かったまんまで……
ヤバいって開けたんだけど、そしたら風花消えちゃってて……
アタシらビビって次の晩から夜な夜なあの子を探しに行ったの……
でもその度、行った子が帰って来なくて……みんな次々マキみたいに……!」
彼女の顔に浮かんでいた恐怖、その理由の一つがこれってわけだ。
正直なことを言わせてもらうならば自業自得だ。
「――――もういい。馬鹿の自業自得だ。喋るな。息が臭い」
有りっ丈の悪意が感じられる声色。
裏瀬くんの顔は能面のようだった。
「なあ江古田ぁ、学歴に傷がついちゃいけない……そんな理由で親を丸め込んでよぉ、保身に走るのは楽しいか?」
「こ、子供には……ご、ごめんなさい! わ、わわ私は――――」
無言のまま立ち上がった裏瀬くんはそのまま歩み寄って、江古田を蹴り飛ばした。
蛙が潰れたような悲鳴が上がるが――これも自業自得だ。
「下衆め……!」
桐条先輩は怒りと自責を滲ませた声で江古田を罵った。
「江古田、森山、風花が見つからなかったら落とし前はキッチリつけさせてもらうぜ」
「ま、待ってくれ! わ、私は何もしていない!!」
「発覚を遅らせるような真似をしたのに? ああもういい、言い訳は飽きた」
淡々とした声が恐怖を誘う。
それは私達に向けられているわけではないのに……
身を焼くような嚇怒の念がヒシヒシと伝わって来るのだ。
「ヤクザの情婦、んでテメェは……臓器、かな? オッサンだがそこそこの値で売れるだろう」
聞いているだけで怖気が走る。
そんな中、
「――――待て裏瀬」
桐条先輩が制止の声を上げる。
「あ?」
「君は今、冷静ではない。怒りは分かるが、余りにも苛烈すぎる」
「当たり前だろ。俺は正道でことに当たっちゃいないんだ。公共の敵らしいやり方をさせてもらってる」
スゥっと裏瀬くんの瞳が細まっていく。
「ついでに言うなら、ここへ踏み入ったお前ら――――目撃者だわな。俺のやり方の」
口封じ、唇がそう動くのが見えた。
「制止の声を振り切ってここへ来たんだろ? じゃあ覚悟は出来てるよな?」
マズイマズイマズイマズイ
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