XI
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
り上げたのだ。
きっと似たようなことがこの先では行われている……
「んでもう一つ、俺は止めた。ここから先へ進むのは自己責任だ」
「わ、分かりました。忠告、ありがとう御座います」
バーテンさんに礼を述べて奥の扉を開けると――下着姿の男女が床に転がっていた。
「き、君は桐条君かね!? た、助け――――」
男の方は古文の江古田先生だった。
「黙れ。俺は発言を許可してない。もう一本いっとくか?」
ソファーに腰掛け冷たい目で江古田先生を見つめている。
その手に持っているのはダーツで、よく見れば先生の身体に何本か刺さっている。
「…………!!」
「裏瀬! 君は――――」
「先輩ストップ! さっき言われたこともう忘れたの? ねえ裏瀬、何でこんなことしてんの?」
常識的な感性から激昂しそうになった桐条先輩をゆかりが制する。
私も唖然としてたから、そのサポートには助かった。
「岳羽か。昨日お前言ってたわな、江古田はこのこと知ってんのかって」
「う、うん」
「知ってたよ。んで情報を止めてたのもコイツ、更に言わせてもらうならイジメについても知ってやがった」
確か江古田先生はE組の担任で……うわぁ、そう言うことだったんだ。
「わ、私は――ァギィイイイイイイ!!」
「だから個人的制裁兼――――そこの馬鹿への見せしめがてらこうやってんだ」
馬鹿と呼ばれたのは色黒の女生徒、如何にもなギャルだ。
彼女に情報を吐かせるために江古田を甚振っているのだろう。
それもダーツと言う痛みを想像し易い方法で。
「コイツだけ足取りが追えんかってな。さっき拉致って来たばっかなんだわ。なあ?」
「違うのよ……こんな……こんなことになるなんて、思わなかった……」
彼女の顔に浮かんでいるのはは江古田がされていることへの恐怖だけではないように見える。
「俺への嫌がらせ、風花に対しては遊びのつもりだったんだろ? んなこた分かってんだ……よ!!」
女生徒の顔のすぐ横にダーツが突き刺さる。
わざと外したように見えるけど……本当は当てたかったようにも見えた。
理性で最善を選び取って無理矢理外したが……今の裏瀬くんは感情が剥き出しだ。
「俺が聞きたいのは何をしたかってことだ。答えろ、俺もいい加減おかしくなりそうなんだ」
…………初めてかもしれない。
こんな裏瀬くんを見たのは。
焦燥、怒り、それらを無理やり押し殺して冷静に振る舞おうとしているが、出来ていない。
どこまでも人間らしいそんな……ああ、それだけ山岸さんが大切な人なのか。
本当に自分が嫌になる。
羨ましいだなんて思ってしまう自分の浅ましさが嫌だ。
「五月二十九日……風花を体育館
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ