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悪霊と付き合って3年が経ったので結婚を考えてます
1年目

冬B*Part 1*〜一人だけの決意〜
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那様のお部屋をお伺いするよう申し使っております。……わたくしからは以上でございます」

 そう言い放つとインターホンからはプツリと外と内の世界を断つ音が聞こえた。
家政婦の最後の声は少し憂いを帯びていたようにも感じられた。

 それを聞いた愛華は(うつむ)きつつ、小さく、やっぱりな、と零した。
愛華の手からはまるで生きることを諦めたかのように力が抜けていくのを感じる。

「拓海……、今日はもう帰ろう……? 今日は夜も遅くなっちまったし、タイミングが悪かったんだよ。明日にでもくれば少しは話してもらえるかもしれないしさ。それに、あたしも呼び出されてるから早く行かねぇと……」

 俺はその言葉に反論しようと口を開きかけたが、それよりも先に愛華は俺の手をそっと離した。そして愛華は、じゃあな、と言うと門を開けて玄関へと向かって歩き始めた。

「愛華!! お前それでいいのかよ!?」

俺の発した言葉に、一度こちらを振り返り悲しそうな表情を見せたが、すぐに苦笑いを浮かべ手を振ってきた。俺は手を離されたショックからか、それに答えることすらできなかった。振り返った愛華の目は、また光のないものとなっていた。

なんだよ……。俺だけなのかよ、本当に諦めきれないのは……。

 そう思いながら強く握った手にはまだ愛華の手のぬくもりが残っていた。




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