暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
決断
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頭を跳ね上げた。きょろきょろと数度首を巡らせ、きつく目を閉じる。
どうした?と訊いても、小さな妖精は数秒黙ったままだった。頭痛を感じたかのように、こめかみの辺りを抑えている。
「レンさんとカグラさんが現れました!ちょうど、パパが現れた辺りです!」
そうか、とキリトは言った。
これは朗報だ。正直、一人では荷が重過ぎていると感じていたところだ。
アスナと同座標上にある謎のコードIDも気になるし、このシステマチックたっぷりで不気味なほどの通路のことも気に掛かる。
しかし、とキリトは思わず足を止めて、はたと考えてしまった。
このまま合流してもいいのだろうか。
もちろん、安全面から考えみてみればそれは当然のことのように思われる。しかし、ユイが言ったことから考えてみるに、事態は刻一刻と変化しているようだ。
そこまではまだいいが、問題なのは現在の状況下でその変化がマイナスの変化なのかプラスのものなのかが判らない、ということなのだ。
汗が、頬を伝う。
脳内の中でいくら考えても、浮かんでくるのは最悪のビジョン。
先刻のユイの言葉の『侵食』という言葉が、やけに脳内でリフレインされた。それは木霊のように四方八方で跳ね返り、増大していく。
「パパ………」
胸ポケットから、ユイが気遣わしげな顔で見上げてくる。その瞳にあるのは、決定は任せるという、絶対的な信頼。
「…………………っそ!」
ミシ、とこぶしを握り締めて、壁に叩きつけた。それだけで滑らかな壁面に亀裂が入り、ピシリという不穏な音が響く。
「ユイ!お前はここに残って、後続のレン達の先導を頼む!」
「え………、でもパパは!?」
「俺は独りで行く」
「そんな……ッ!危険すぎます!もしも────」
「いいんだっッ!これでいい!」
「……………………………」
黙り込むユイの頭を再び撫で付け、精一杯の笑みを浮かべた。それは若干引き攣っていたけれど、ユイの安心を誘うには効果があったようだ。
色々な言葉を飲み込んだ小妖精は、ぐっと堪えると静かに胸ポケットの中から、しゃらんという涼やかな効果音とともに飛び上がった。小さな翅から零れ落ちる光の欠片達が、きらきらという煌きを残して宙に消えていく。
信じてます、と口を開いた後、ユイはキリトの頬に唇を寄せて音高くキスをした。
「必ず帰ってくる!」
「はい!」
キリトは一人、足に力を込めて走り出した。
レンとカグラは通路を疾走していた。いや、飛んでいた、というほうが正しいのかもしれない。
二人の周囲のテクスチャは、もはや原形をとどめていなくなっていて、はたから見る者がいたらそれは数メートルおき
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