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空を駆ける姫御子
第八話 〜花言葉 〜Language of flowers〜 -終花-【暁 Ver】
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の暗闇から染み出すように姿を現した。温和な表情を浮かべながら。何故かは理解出来なかったが──── 屈強な男は、叫び声を上げたくなった。






「お待たせしました。少し手間取りましたが、ティアナさんの居場所がわかりましたよ」

 廃棄区画に入って間もなくだ。お兄さんは突然立ち止まり、何かに気が付いたように路地を見つめると、あたし達にここで待っているように言った。見れば、お兄さんの影がいつの間にかいなくなっている。何の説明もなく暗闇の中へ消えていったお兄さんは、十五分ほどで何事もなく戻ってきて──── さっきの台詞だ。わけがわかんないです。

 あたしとアスナが少しむくれていると、お兄さんは苦笑しながらあたしとアスナの額に壊れ物を扱うようにして、そっと指を触れた。その瞬間あたしの()()()に、ある建物への道順とドアに『312』と書かれた部屋の映像がするっと入ってきた。……驚いていたあたしを落ち着かせたのは。粗末なベッドに寝かされているティアの姿だった。

「ここからさほど離れてはいません。二人の足ならばすぐでしょう」

 あたしはお兄さんの言葉に頷くと走り出そうとして……その場から動かないアスナに気が付いた。アスナは、お兄さんを見つめたまま立っている。

「……お兄ちゃんは?」

 アスナの問いかけに対して、お兄さんの表情に少しだけ影が差しように見えた。

「私は……少し、やる事が出来ました。先ほどの男を()()()話を聞かなければいけない人がいることがわかりましたので」

「……助けてあげられる?」

 アスナの言葉にお兄さんが息をのむ。何の話をしてるんだろう? 先ほどの男と言うのもわからないし、話を聞かなければいけない人もわからない。お兄さんは少しだけ俯いた後、顔を上げるとはっきりと頷いた。

「はい。きっと」

 アスナはこくりと頷くと、子供がするような仕草で手を振る。あたしはお兄さんにお礼を言い、アスナと一緒に走り出した。アスナは走りながら、お兄さんの姿が見えなくなるまで手を振っていた。






 お兄さんが言った通り目的の場所へは、ものの数分でたどり着いた。廃棄されたホテルだ。アスナと共に中へ侵入する。エレベーターは当然死んでいた。階段を使う事になるが、幸いにも三階だ。階段を駆け上がり目的の部屋を見つけると……あたしはドアを蹴破った。作戦? そんなものは知らない。

 部屋へ侵入したあたしの目に飛び込んできたのは、驚きに目を見開く男が一人と……粗末なベッドの上でティアにのしかかっている男が一人。視界が朱に染まる。自分でも驚くようなスピードで飛び出した。唸りを上げる自作のローラーブーツと共にあたし自身も咆哮を上げる。

 即座に
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