第八話 〜花言葉 〜Language of flowers〜 -終花-【暁 Ver】
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最悪だ。
「しかし、どうすんだよ。アイツは『その時』が来るまで、閉じ込めとけっていったけどよ」
大男は体に似合わず不安そうな声で問いかける。問いかけられた男は呆れたような口調で叱責した。
「バカヤロウ。だからオメーはダメなんだよ。その時まで……楽しめばいいじゃねぇか」
男の一人はそう言いながら、好色な色をした目をあたしに向けた。
「本気かよ? 管理局員だぞ。いくら金払いが良いからって」
もう一人の男が口を開く。
「俺たちを雇ったあの男も管理局の人間だぞ? ……堂々と身分を明かした時は驚いたがな。その目的も。いかれてやがる」
「というわけだ。そろそろ時間だ。金受け取ってこいや」
「なんだよ、俺だけ仲間はずれかよ」
「でけー図体して拗ねんじゃねぇよ、気色悪い。しゃーねぇだろう、金の受け渡しは現金でって言ってんだからよ。大胆なのか、用心深ぇんだかわからんな。……安心しろよ。オメーの好きな尻は残しといてやっからよ」
そう言って納得出来ないというような顔をしている大男をよそに男二人は、知性のかけらも感じられない声を上げて笑い出した。
「さて、嬢ちゃん? 気がついてんのは知ってるぜ」
男は下卑た笑い顔を浮かべながら、あたしへと近づき足枷せを外す。その時に触れた男の指で、全身に鳥肌が立った。男はポケットから何かを取り出し、あたしに見せつけるように指で摘む。……それは、アンプルのようだった。
「何のアンプルだと思う?」
知るものか。知りたくもない。男はアンプルを銃のようなものへセットした。
「ん? あぁ、これか? 短針銃っつってな。鎮静剤をセットしてから錯乱して暴れる患者なんかに使うんだけどよ。本来はな」
男はそう言ってあたしに銃口を向けた。……冗談じゃない。
「……Heavens Doorだ。新しい世界を見せてやるよ。二度と戻ってこれねぇがな」
プロレスラーのような屈強な男は金を受け取るべく廃棄区画の路地を歩いていた。今回の仕事はどうにも嫌な予感がする。早々に降りた方が懸命かもしれない。そんな事を考えながら、懐に隠し持っている銃を服の上から確かめた。そして何気なく。本当に何気なく自分の足元を見ると、月明かりに照らされて出来た影の隣に──── 自分以外の影がいた。
「はぁ?」
間の抜けた声を上げた屈強な男へ不意に。背中から声が掛かる。
「私の『影』が、何故あなたに反応したんでしょうか。『対象』を探し出すはずなんですが……少しお話を聞かせてくれますか?」
屈強な男が振り返ると……全身黒ずくめの優男が路地
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