第八話 〜花言葉 〜Language of flowers〜 -終花-【暁 Ver】
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ばれてしまかも知れませんが……まぁ、適当に誤魔化して下さい」
桐生は一番肝心な問題を彼女たちに丸投げしつつ……跳んだ。
あたしは、あっという間に変わった景色に驚いて辺りを見回していた。魔法を使っている様子はなかった。魔方陣すら展開されていない。違和感もなかった。それなのに瞬きをしている間に転移していた。もしかして、座標計算もしていないのかな。これが『瞬間移動』ってヤツなんだろう。
「取りあえず、外へ出ただけですので。本番はこれからです」
お兄さんはそう言うと、あたしが手渡したティアのリボンを拳に巻き付けるように握り込んだ。なるほど、下着を渡さなくて良かった。……お兄さんに見られてしまったけど、黙っていればバレない。きっと。
お兄さんが何をするのか興味が出てきたあたしは、黙って見ていたけど何も起こらない。あたしの頭の上にはきっとクエスチョンマークが踊っているはずだ。そんなくだらないことを考えていたとき。お兄さんの影が──── ぶるりと震えた。
変な声が出てしまって慌てて口を押さえた。影は意志を持っているかのように、お兄さんの足下から離れると、地面を滑るようにして進みだした。呆けていたところをお兄さんに肩を叩かれ、慌ててアスナと共に影を追いかける。月明かりに照らされた街を一つの影と三人が疾走する。あたしは先行している全身真っ黒な人の背中を見た──── ホント、何者なんだろ? この人。いや、そんなことはどうでも良いんだ。この人は、アスナのお兄さんで、ティアを助けようとしてくれている。それだけで十分だ。
あたしの隣で併走しているアスナは、その背中を誰よりも信頼しているように見つめていた。ちょっと悔しいけど仕方ない。お兄さんは三十過ぎのおじさんを走らせないで下さいとか言ってる。自分でやった癖に。うん、だけど……ティアは必ず無事に見つかる。その背中を見てるとそんな気がした。
あたしが目を覚ましたのは数分前。性格なのか、管理局員としての質なのかあたしが真っ先にやったのは、状況の確認だった。古びたホテルのような一室。だけど室内の痛みが激しい為に、元ホテルだった建物の一室と判断。室内には男が三人。プロレスラーの様な大男が一人に、中肉中背の男が二人。
自分の状況。両手足を拘束されている。バインド系の魔法ではなく物理的な手段で。そして、ホテルの備品だったのだろう古びたベッドに転がされていた。デバイスは……当然ながら手元にはない。念話は……今のあたしには距離がありすぎる。人を拉致したというのに三人の男は酷く落ち着いている。彼の仲間だと判断すれば、あたしが管理局員だと言うことも理解している筈なのに。以上の状況から総合的に判断した結果は────
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