第八話 〜花言葉 〜Language of flowers〜 -終花-【暁 Ver】
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リボルバーナックルのカートリッジを一発ロードし、空薬莢が排出されると共に男の顔面へ拳をめり込ませた。鼻が潰れる鈍い感触と、空薬莢が床へ落ちる金属音と共に男を壁へと吹飛ばした。……全然足りない。
もう一人の男は無謀にもアスナにナイフ一本で挑んだ。突き出されたナイフを危なげなく左手で捌くと右手の掌底を男の顔面へ打ち込む。そのままの勢いで男の頭を両手で掴み、足払いを掛けながら後頭部を床へ叩きつけた。……まだ終わらない。アスナは呻いている男の無防備な顔面へ、全体重を乗せて膝を落とす。
それでもまだ飽き足らないのか、アスナは床に転がっている男の体をサッカーボールのように蹴り出した。打撃音と共に男の体が壁ぶち当たり、さっきあたしが気絶させた男の上へと落下した。……やり過ぎのような気もするけど、アスナの御陰で少し冷静になった。あたしはベッドで荒い息を上げているティアに抱きつく。
「ひゃう!」
……何とも可愛らしい声と言うか、艶っぽい声を上げた。
「ティア、大丈夫?」
「大丈夫、よ。何も、されて、ないわ。危なかった、けど、ね」
ティアは全身に汗をかいて肌もほんのりピンク色に染まっている。やっぱりなんか……色っぽい。
「何、見てん、のよ」
「ゴメンナサイ」
『Heavens Door、だね』
ボブが努めて冷静に告げる。あたしは慌てた。お兄さんに言われるまま飛び出して、何の用意もしていないことに気が付いたからだ。
『スバル、大丈夫だ。対処法はある。アスナ?』
ボブに促されアスナはティアに近づくと胸のあたりに両手をかざした。すると、アスナの手のひらから真白な粒子がティアに降り注ぐ。……綺麗だった。まるで雪が降ってるよう。アスナの手から降り注ぐ雪は瞬く間にティアの全身を柔らかく包み込んだ。だけど、アスナは治療魔法なんて……『Physical Heal』でさえ使えないはず。
『魔法ではないよ、スバル。これは極めて限定的ではあるが、医療用ナノマシンだ。ストックは十分にある。問題ない』
「ストックって、使えば減るの?」
ティアが不思議そうに問いかける。
『その通りだよ、ティアナ。ナノマシンというのは簡単に言ってしまえば『極小の機械群』だ。魔法のように空気中に魔力素があれば、使い放題なエネルギーとはわけが違う。そんな都合の良いナノマシンなど存在しない。謂わば……消耗品だ。製造コストもやたらと高い』
今やってるのは、ティアの体にいる悪いナノマシンを、良いナノマシンでやっつけてるってことなのかな。
『スバルらしい表現だが、間違ってはいない』
それを聞いたあたしは、ティアの体内でHeavens Doorを大勢のちびアスナが倒している光景を幻視した
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