第八話 〜花言葉 〜Language of flowers〜 -終花-【暁 Ver】
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──────── 桜色の嵐
季節外れの桜が満開だった。暖かな風が、梢を揺らし花びらが蝶のように舞っている。それはとても幻想的で……桜の木の根元には死体が埋まっていて、だから綺麗な花を咲かせるのだ──── 有名な小説の一節ではあるが、この光景を見るとあながち間違っていないかも知れないと『黒い男』は思った。
二人の男がいた。片方は幾分顔色の悪い線の細い男で、管理局の制服を着ている。もう片方は頭のてっぺんから足のつま先まで黒く烏のような男。この光景には大凡似つかわしくない二人が、風を挟んでお互いを見つめていた。線の細い男は幾分苦笑した面持ちで口を開く。
「初めまして……でいいのかな?」
黒い男も線の細い男と同じような面持ちで、返答する。
「はい……それで間違ってはいません」
再び落ちる静寂。風が何度か花びらを舞上げた頃、再び線の細い男が口を開いた。
「その様子だと僕の事は知っているみたいだけど……一応自己紹介しておくよ。スギタ・サイトだ」
「私は……あなたが機動六課で事情を聞いた娘の兄です。桐生と申します」
スギタ・サイトと名乗った線の細い男は、幾分驚いた様子だった。
「桐生……あぁ、あの子か。とても印象に残ってるよ」
それを聞いた黒い男──── 桐生は苦笑する。
「少々変わっていますが、とても良い子ですよ?」
それを聞いたスギタは懐かしいものを見るような優しげな表情をして、桐生に問いかけた。
「心配じゃないかい? 管理局の魔導師は程度の差はあれ、危険な任務に就く事もある。ましてや六課の魔導師だ。ロストロギアや次元犯罪者……常に危険と隣り合わせだよ?」
「とても心配ですよ。ロストなんとかだの、次元犯罪者だの私にはどうでも良いことです。可能であるならば……鳥籠に閉じ込めておきたいくらいです」
桐生はそこまで言うと空を飛んでいる鳥を見上げる。
「……ですが、空を飛べない鳥が翼を持っていないと考えるのは間違いでした。彼女の翼は、大きすぎて鳥籠には収まらないんですよ。困った事に」
「それは……困ったね」
「えぇ、困ったものです」
そう言いながら二人は笑い会った。
「それにしても良くここがわかったね。この墓地はあまり知られていない筈なんだけど」
桐生はそう問いかけられ、少しばつの悪い顔をする。
「あなたの事は……失礼かと思いましたが、調べさせて頂きました」
「へぇ……凄いね。管理局の人間を調べるのはかなり骨が折れると思うけど。ハッキングかい?」
それを聞いた桐生はまさかという顔をする。
「私にそんな技量はありませんよ。私は……バークリーの人間なんで
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