九話 「小さな一歩」
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を飼っているのだ。そこから池ジジイ。名前を知らない故の安直さだ。
ついでに、少し気になったので聞いてみる。
「何団子だ?」
「みたらしだけど」
ああ、多分そりゃキレる。あのジジイ頑固というかキレっぽいし。
「ジジイキレるから「ゴメン」って言ったんだけどさ、一発叩きやがったあいつ。マジわけわかんね」
ああ、だからカジ少年は怒っているのか。服の弁償しないだけ良かったんじゃない?
そんなこと思うがこの年の子供には分からないだろう。思い返せば感情で突っ走っているような年代だ。誠意などこれっぽちも無かっただろうが一回謝った所でカジ少年の中では終わったはずだったのだろう。
「パン!だよ、パン! 赤くなって親父に爆笑されたしさ。何か仕返ししたいんだよ。ジジイになんかやり返そうぜ」
逆恨みか。まあいいけど。どうせイタズラレベルだろ。
「ハリマ、何がいいと思う?」
「鯉いるじゃん? 小銭とか小石投げ込もうぜ」
「いや、それは止めとけ」
つい止める。鯉が間違えて飲み込んだらどうするんだ。いやまあ、前の世界で小さな頃やったことあるけどさ。大きくなると罪悪感湧いてくるんだぞあれ。
そう言えば鯉の口って潰す力物凄いって聞いたことあるけどホントなのだろうか。
「じゃあお前は何かあるのかよイツキ」
カジに言われる。ふむ、仕返しか……
「扉とかの下の滑らせるとこ。あそこに砂利敷き詰めるとかどうだ。開かなくなるぞ」
「うわぁ……そんなこと思いつくとか」
「地味……」
引くなよお前ら。
「おい、お前は何かあるか?」
「え、私?」
カジの問いに少女が驚きの声を返す。
たまにこの集団に参加している大人しげ、というかたまに会話に参加するだけで基本はニコニコと話を聞いている少女。
さっきの「団子美味しい」の発言主でもある。名前はなんだったか……
「何って、えーと、何?」
聞いていなかったのだろうかこの少女は。
「だから、何かしたいことあるかって聞いてんだよ」
「ならお絵かきしたいかな」
和やかに少女が言う。実に微笑ましい内容だ。自分に意見を求められたのが嬉しいかもしれない。
だが、今のそれでは確実に違う流れになるぞ少女よ。
「おっし、じゃあジジイの家の壁に落書きしに行こうぜ」
そうなるよね。
「え? え?」
少女が困惑する。
だがそれを無視するように他の奴らはさっさと動き出す。
「ペンキあったっけ?」
「知らね。絵の具でよくね?」
「マジックとかも用意しようぜー」
「でっかくハゲの絵と良いよな」
カジ少年たちが思い思いに話しながら歩いていく。
「行くか」
「え? あ、うんそうだ
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