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弱者の足掻き
九話 「小さな一歩」
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た。
 結果、ほんの少しだけだが土の形が変わった。変わったは変わったのだが、明らかに水の方が効率が良かった。固形と流体で差があるのは当然だろうが、それならある程度のレベルに行くまでは水で十分だろう。そもそも水の方が利用性は高い。
 
 平べったくなった風船の中で少し水が回る。コントロールしきれてないのだ。
 最終的には回ってもいいのだが、それはあくまでも最終的にの話。回して力を得ずとも形を変えられるようになりたい。ただ意思だけで平らにできるのはやはりまだ遠いようだ。

 風船を見ればある程度平べったくはなっている。だがまだまだラグビー系のようなものだ。
 ふと上下から手で挟みより平っべたくする。そして渾身の力でチャクラを加え、この状態を維持できるように念じながら上の手を離していく。
 
「ぐぬぬぬぅおおおおッ」

 唸りながら力を込める。
 最初はその形を保っていた風船だが時間とともに少しずつ厚みを増していき、結局元に戻る。
 うむ、先は長い。だがこっちの方が効率いいな。
 そう思いもう一つの方を頑張る。両手で風船を多い、外側から押し込めるイメージで全力を注ぐ。
 だがこちらはあまり芳しくない。まあ、これは気長にやるしかないだろう。
 
 しばらくそんなことをしている白がそばにいないことに気づく。見れば少し離れたところで苦無を投げている。 
 投げる苦無はほぼ百発百中。離れた位置にある的に規則的にあたっている。

「早いなぁ」

 体全体で、時には腕だけで投げその全てが当たっている。もしかしたら見ないところでも頑張っているのかもしれない。
その成長の速さに俺は呟きながら手の中の風船をいじり続けた。



その後時間になったので修行をやめ、広げてあったものも回収し俺たちは家路についた。











「こないださー」

何でもない午後。暇人どうし広場に集まった子供の中でどこか怒ったようにカジ少年が言う。

「腹減ったから家に置いてあった団子食べたんだよ。袋破いて食ってたら親父に怒られてさ。たくさんあったんだし少しくらいよくね?」
「ちょっとくらい良いよな。ケチくせー」
「カジくんのとこのお団子美味しいよね」
(いや、それ売り物だろ)

 周りが色々言う中俺は心の中で突っ込む。
 自宅で作っていると家のものだと思ってしまうのかね。まあ、身近にあれば食ってしまうのはわかる。
 
「でさ、殴られそうだから逃げたんだよ。追ってくるから団子片手に適当に走ってたら池ジジイにぶつかってさ。服に団子ぶつけちゃったんだよ」

 池ジジイというのは少し離れたところに住んでいる男のことだ。実際はジジイというほど歳は取っていないと思う。
 家に庭がありそこに小さな池と鯉
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