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Geet Keeper 〜天国と地獄の境〜
産声
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、現実だと思わざるを得なくなってきた。
現に目の前には自称・死神のこいつがいて、異世界の女王と名乗る者からのメッセージも届いた。
そして”鍵”のことや”地獄の騎士団”の話を聞いている限り、ここまで手の込んだ悪戯を仕掛ける必要性がまったくもって感じられない。
となると、これは紛う事なき現実なのだろう。


「要するに…その門番になれる資格をあたしたちは持っちゃってて、そんでもって少なくともここにいる全員にあんたみたいな妙なのが付いていて、それを守護神としてあたしたちは”鍵”を集めて”地獄の騎士団”とやりあわなきゃならない。…そういうこと?」

「さすが私が派遣されただけのことあるね。飲み込み早すぎて文句なし!」


血梨は幾分か満足、といった様子だが当の本人たちは全ての状況が『掴めても』まだ『受け入れる』ことはできていないようだった。


「…考える時間はなさそうだな。話を聞く限り。」


涼介が呟いた。


「…俺たち以外にも勿論いるんだよな?門番候補生は。」

「もち!あ〜…でも今回は少ない方だってことは聞いてるかな。なんせ守護神候補自体が例年に比べて少なかったし、人間のほうも適正を持ってる絶対数があまりいなかったらしいからね。その分、今回の招集は空振りなんじゃないかって噂してる人もいるよ。」


長い沈黙が流れた。
今回ばかりは血梨もその空気を破ろうとはしなかった。

門番になるということは、『全宇宙の救世主』という称号を得る代わりに常に『死』と隣り合わせの状況下に置かれるということになる。









「今日が…入学式だったのにね。」


ボソリと南が言った。


「今日が入学式だったのよここにいる大半は。新しい学校生活を明るく始められるはずだったのに…帰ってきてこの封筒を開けた途端、やれ門番だの鍵だの地獄の騎士団だのって…。私はいいわよ。どうせ今年で卒業だし、学校生活での楽しみだってこれといってない。でも『これから』の子達がここには大勢いるの。」


声が、少し震えていた。


「…優花、言っちゃったよ。友達に”明日学校終わったら遊ぼうね”って言っちゃったよ?でも門番になったら…もう会えないんでしょ…?」


ずっと俯いて怯えていた優花が、膝を抱えたまま涙声で口を開いた。


「…………ごめん。でも、このまま放っておいたら…その”明日”も一生なくなるの。”地獄の騎士団”より一刻も早く”鍵”見つけ出して集めないと…友達と約束する”明日”は、もう二度とこないの。それがいつになるかはわからない。今そこの扉を開けたら既に”明日”という時間軸はなくなってるかもしれない。私や女王様が言いたいのは、そういうことなの。」


えらいことになった
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