第十一話
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いたはずのお空ですら、体中を震わせている。
「どうしたの? 主から命令されてるのよ? あなたはそれを受け入れて放出すればいいだけ」
「……ぁ……ぁ……」
お空の口から声が漏れ始めていく。
さとりの命令・男からの命令・彼女の気持ち、それぞれが彼女の心の中をぐちゃぐちゃにかき回し、思考を途切れさせる。
「……まだ抵抗してるのね」
「……」
「なら……」
そういいながらさとりは左手を伸ばす。
そして、そのままエネルギーの塊の中に突っ込んだ。
「!!?」
「っ……」
激痛でさとりの表情がゆがむ。妖怪として身体が丈夫だとはいえ、核エネルギーのなかに手を突っ込んでどうなっているかはわからない。
だが、軽く皮膚が溶かされる……そういった感覚が彼女を襲っていた。
「……これでも……まだ攻撃できないかしら……お空?」
「……さ……り……ぁ」
かすかだが、お空の口からさとりの名前が漏れ出した。
さとりが自分から手を入れたとはいえ、いまさとりを攻撃しているのと変わりない。制御されているお空の体の拒絶反応は、どんどんと大きくなっていく。光を失った目からも、拒絶による涙が流れていた。
「なら右手も……」
「ぁ……やめ……くだ……り……さ……」
お空は顔を横に振って呪縛から逃れようとする。だが、制御された体はなにも言うことを聞かない。
そうしている間にも、さとりの右手は近づいてくる。
「……!おい、なんか出てるぞ」
「えっ……!?」
萃香が指を指す方向には、小さいが黒い何かが上に上に上がっていた。おそらく、お空の首元から発生しているだろう。
(黒煙……もしかして……)
「お空……もういいの……自分を解放しなさい」
「ぁ……ああ……ああああああああああああ!!」
全身を大きく痙攣させるお空。黒煙もそれにあわせて大きくなっていった。
「くそっ、制御が……うわっ!?」
男がたたいていたキーボードが、大きく音をたてながら軽い爆発を引き起こす。そのまま電流が流れる音を出しながら、何も反応しなくなった。
それと同時に、宙に浮いていたお空は、完全に意識を失ってゆっくりと落ちていく。そのまま地面にぶつかりそうになるが、間一髪でさとりの右手が彼女をささえた。
「……お疲れ様。もう大丈夫……ゆっくり休みなさい。まったく……しばらく左手は使えないわね……」
そう言ってさとりはお空を静かに抱きしめながら、どろどろになりかけた自分の左手を見ていた。
「ちっ……こうなったらもう一
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