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BLUES OF IT
第一章
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今から」
「飲み過ぎには注意しろよ」
 お約束の注意を受けた。
「あと飲酒運転にもな」
「わかってますよ。それやったら終わりですからね」
「そうだ、それだけは注意しろ」
「ええ、わかってます」
 今度ばかりは真面目に返事した。流石の俺もそれだけはするつもりがなかった。遊ぶのは好きだがそれで人生を潰したら何にもならない。それだけはわかっていた。
「それじゃあ。また月曜」
「ああ、またな」
 こうして俺は金を溜めてやっと買った外車で夜の街に出た。車はいつもの駐車場に置いてそれから繁華街に入る。行くのはショットバーだった。
 そこに入るとまずはカウンターに座る。店の中は薄暗い灯りであまり周りが見えない。その中に派手な服や化粧の女があちこちに見える。それを見ているだけで俺は楽しくなる。この雰囲気が好きだ。飲むのもいいがこうした女達もいい。
 カウンターに座る。そうしてまずは。
「バーボンだ」
「バーボンかい」
「ああ、それもストレートでな」
 俺は笑ってマスターに言った。このマスターとはもう馴染みだ。だから気楽に声をかけることができた。向こうも俺に気さくに声を返してきた。
「頼むぜ」
「今日は一杯かい?」
 マスターは笑いながら俺に声をかけてきた。
「どうするんだい?」
「そうだな。何か疲れてるしな」
 疲れている時はどうするか。俺の場合はこうだった。
「一本くれ」
「いいねえ、それが」
「飲んで回復するのさ」
 俺は格好つけて笑ってマスターに答えた。まだ若いからできる、よく言われるが若いなら若いで思いきりやってみたかった。飲むのも。
「だからだよ」
「そうかい。じゃあサービスしとくよ」
「ああ、悪いな」
 ボトルごとそのバーボンを受け取った。そうしてストレートでどんどん飲んでいきあっという間に一本空けた。酒の強さには自信がある。
「これでいいさ」
「相変わらずいい飲みっぷりだね」
 俺が飲むのを見ていたマスターが楽しそうに声をかけてきた。
「相変わらず」
「エネルギーの補給さ」
 俺はその格好つけた笑みのまままた答えた。
「これもな」
「で、エネルギーを補給したらどうするんだい?」
「わかってるんだろ」
 そうマスターに答えた。
「飲んだ後は」
「いい飲みっぷりね」
 ここで向こうから声をかけてきた。髪を茶色に染めてやけに長く伸ばした派手な女だった。ドレスか何かわからないが随分目立つ長いスカートを履いている。それと黒いブーツが目立つ。胸をやけに強調した上のところもやけに目について仕方がなかった。

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