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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第五十六章 解放《1》
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「止めてくれ!」
 言葉を遮るように怒鳴った。
「私はお前に会いたくはなかった。言った筈だ、黙って見ていろと」
「無理だったから今こうして来てんだろ」
「そこまでして私に何を望む。日来の名でも上げてほしいのか、それとも援助がほしいのか」
「う――ん、願わくばどっちもだな。だけどな、それは日来のためだからだ。俺自身の望みは、お前と一緒にいることなんだ」
 結界内が淡く光り始め、足から振動が伝わってくる。
 解放場が解放を開始したのだ。
 エンジン音に似た音が唸るように鳴り、二人は異変に気が付いた。
 自身の身体から光が漏れるように現れたのだ。身体から漏れ出した光は上へと流れ、天へと昇っていく。
「とうとう解放が始まったか……」
 奏鳴が呟いた。
 身体から出た光を見ながら、何かを思うように。
「俺はただの人族だからな。神人族のお前よりも早く解放されるんだろうな」
「何が言いたい」
「お前よりも早く死ぬってことだよ」
 セーランは奏鳴の横へと歩く。
 近付いてくるセーランを避けるように、ある一定の距離を保つため後ろに下がり、奏鳴は視線をセーランに向ける。
 南側を見て、そのまま。
「ここで死んで、本当に満足なのか」
「当たり前だ。これは、私が選んだこと。不安など無いに決まっている」
「この解放になんの違和感も感じないのか」
「感じていないわけではない。だが、私が解放される理由など決まっている」
 一拍開け、
「黄森の者達を虐殺した、だからだ」
「なんでそう思うんだ?」
「思うも何もそうなんだ。仲間を殺されれば怒るのは当然だ。お前もそうだろう」
「まあな。だけど、だからって殺した奴を殺そうなんて俺は考えない」
「それはお前の考えだ。黄森は私を解放することを選んだ。ただそれだけだ」
 おいおい、と言うセーラン。
 南に向けた顔を奏鳴に向け、先に自分の口から漏れた言葉に続きを加える。
「だから素直に解放を受け入れたっていうのかよ」
「そうだ。それに、もう委伊達家が辰ノ大花を治める時代を終わりにしようとも考えている」
「委伊達家がお前一人だけになったからか」
「それもあるが、これからの世は学勢も本格的に他国との争いに関わることになるだろう。今は外交と軍事を担当している社交院があるが、もしそれが無くなったら」
「新たな組織を立ち上げるまでの間、学勢は外交と軍事を担当することになるってことだな」
「ああ。組織が無くなれば権力も同時に無くなるからな。そこで残った学勢院と言う組織が争い事に参加することになる」
 確かにその通りだと、セーランは思った。
 何時か学勢院も社交院も無くなる。
 今の世が落ち着いているのは、国々が争い合った黄金時代に受けた傷を、癒すためや兵力を増幅させているからだ。
 本格
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