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GGO編ーファントム・バレット編ー
59.激戦
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に、シノンを巻き込んでしまった。

俺たちはシノンを守り、闇風を排除し、二人の死銃を倒す。
するとシノンがけつとした声で言った。

「闇風は、私が相手する」

「「え.......」」

「あの人は強い。たとえあなたたちでも瞬殺はできない。戦ってるところを死銃に狙われるわ」

「そ......それはそうかもだけど......」

「だけど.....」

するとシノンは銃から離した右手を伸ばし、俺の口を人差し指をあてる。

「どうせあなたたちのことだから、私を守らなきゃ、とか考えたんでしょう」

狙撃手は小さな唇に笑みを浮かべる。

「冗談じゃないわ。私がスナイパーであなたがスポッターなのよ。敵の位置を割る手伝いだけしてくれれば、闇風も死銃も私が始末するわ」

(スポッターって.....おい)

俺とキリトは苦笑いし、頷いた。

「そっか。じゃあ、任せる。......そろそろ、闇風ともう一方の死銃はかなり接近してるだろう。まず俺が飛び出すから、シュウとシノンは後から出て、狙撃できそうな位置についてくれ」

シノンはこくりと頷き返した。

「行くぞ!」




暗視モードに変更した愛銃へカートUのスコープを、シノンは右眼で覗き込んだ。
広大な砂漠には、今のところ動くものはない。しかし南西からは闇風が、そしていずこから二人の暗殺者がこの場を目指している。
私が狙撃位置に選んだのは、ずっと潜伏していた洞窟がある、低い岩山の頂上だった。

視野の中央、大きな砂丘の天辺に、ひっそりと立つ影があった。
時折吹き抜ける風が、背中まで伸びる長い黒髪を揺らしている。細い体を包む黒のファティーグは夜闇に溶け込むようで、銃を帯びた兵士というより、幻想世界の砂漠に佇む妖精の剣士のように思えた。
そして私に謎の言葉を残しどこかへと飛び出して行ったもう一人の剣士。

あの二人には驚かれされてばかりだ。初見で《アンタッチャブル・ゲーム》をクリアとクリア寸前まで行き、私のへカートの弾を斬り落とした。それだけではない。あの二人は私の弱さを受け入れてくれた。

そんな二人に恩が返せるとしたら今この時だ。

シノンの右眼が、スコープの彼方に、高速で移動する影を捉えた。《闇風》だ。

(......お願い。弱い私に、力を貸して。ここからもう一度立って、歩き出すための力を)




最後の残照が仄かに残る空の彼方に、朧な青白色の円盤が浮かんでいる。満月だ。

この状況で信じれるのは自分があの二年間で培ってきた《気を感じる》技.......《超感覚(ハイパーセンス)》だけだ。

自分の感覚の身を信じ、恐れを振り払い、瞼を下ろす。風鳴りを、乾いた冷気を、足元の砂の軋みを、意識から排除する。
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