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空を駆ける姫御子
第七話 〜花言葉 〜Language of flowers〜 -花葬-【暁 Ver】
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、アスナを宥めているシグナム副隊長の姿があった。廃ビルを後にし、すでに六課のみんなに囲まれている彼女たちを目指す。そして……ふと、あたしの前を歩いているティアの背中が目に入る。

「ちょ、ちょっとスバル! なにすんのよ」

 あたしはなぜかティアに走り寄り、その背中を抱きしめていた。なんで?

「あたしが聞いてんのよ。そういう不思議ちゃんはアスナ一人で十分なのよ」

 なんかティアを見てたら捕まえなきゃいけないような気がして。

「なによ、それ。頼むからアンタまでアスナみたいにならないでよ。あたしの気苦労が倍になるわ」

 文句を言い始めたティアの手を取って走り出す。うん、気の所為だ。……ティアはここにいる。






 寮母であるアイナさんが倒れたと聞いたのはその翌日だった。とは言っても、シャマル先生の診断によると軽い疲労で、二、三日休養すれば大事ないとの事。あたしやスバルなどの寮で生活している人達は、胸をなで下ろした。ちょっと不謹慎ではあるが良い機会でもあるし、いつもお世話になっている彼女の為にと寮組は奮起した。

 アスナは、アイナさんの看病と身の回りのお世話。意外だろうが、お兄さんが結構な不精者らしく、家事全般は得意なのだ。スバルとちびっ子組は寮の掃除や洗濯など。かく言うあたしも買い出しに(クラナガン)まで来ているわけだ。予想外に荷物が多くなってしまった為に、ちょうど捜査から戻ってきたフェイトさんに車で迎えに来て貰うことになった。

 ヴァイス陸曹から借りたバイクを回収する為に、彼まで同乗してくる事になったのが心苦しい。……早く自前の足が欲しいわ。荷物を積む為にサイドカーというのも面白いかもしれない。どうせ、スバルとアスナを乗せることになるんだろうし。

 そんなことを考えながら、中央公園のベンチで休んでいると、見知った顔を見付けてしまった。

「スギタ二等陸尉?」

「ん? えーと、ランスター二等陸士?」

 彼は少しだけ考えるような仕草をするとあたしに敬礼をした。あたしもそれに習う。ここで乙女的な思考の持ち主であれば、『運命の赤い糸』だとか思うのだろうが、生憎あたしはそんなものを持ち合わせてはいない。シャマル先生とは違うのだ。

「例の事件の捜査中でしたか? 申し訳ありません。不用意に声を掛けてしまって……」

 彼はひらひらと手を振りながら、如才ない返答をする。

「いやいや。気にしなくて良いよ。綺麗な女性に声を掛けられるのは嫌いじゃないからね」

 少し違和感を覚える。線が細い印象は変わらないが、こんなタイプの人間だったろうか。この前と少し……いや、気の所為か。

「以前もお見かけしたんですよ? えーと、大通りにある公園にあたし達はいたんですけど。二日前で
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