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空を駆ける姫御子
第七話 〜花言葉 〜Language of flowers〜 -花葬-【暁 Ver】
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外にも早く決着がついてしまうことに少し落胆する。それを顔には出さず無防備なアスナへとレヴァンティンの切っ先を向けた瞬間──── 視界がぶれるほどの衝撃を後頭部へ受けた。

 脳が揺れ、あまりの衝撃に思わず声が出る。何をされたか理解出来ないまま、グラグラと揺れる視界と体に気合いを入れ、レヴァンティンで突こうとするもアスナは遊んでいた左足で、シグナムの胸を勢いよく蹴りつけた。その反動を利用して二度、三度とバク転をしながらアスナは、シグナムから距離を取る。

 胸を蹴りつけられたシグナムは後ろへ踏鞴を踏みながらもなんとか体制を整えた。少し咳き込みながら胸を見ると──── アスナが蹴った部分の騎士甲冑が綺麗に()()()いた。シグナムは忘れていたのだ。アスナの戦闘力ばかりに目がいきがちだが、真の怖さは完全魔法無効化能力(Cancel Magic)だ。彼女にはバリアジャケット……騎士甲冑や、魔法障壁などなんの意味もない。模擬戦に於いて、頭部へ直接打撃を入れられた事は、どれくらいぶりであろうか。油断などないと。だが、蓋を開けてみればこの体たらくだ。

 恐らく先程の攻撃は、躱された蹴りを引き戻したのだろうと当たりを付けた。視界がまだ揺れている……軽い脳震盪のようだ。この程度であればすぐ回復するだろう。だが

「桐生。もういい。私の……負けだ」

 彼女らしい清々しい笑顔で、シグナムはそう言い切った。束の間の時間であっても、アスナを侮った自分をシグナムは恥じたのだ。ただ、それだけのこと。観戦に回っていた人達からは、シグナムの潔さを讃えるかのように拍手が巻き起こっていた。





「ちょっと、予想外かな」

「そうかぁ? 私はシグナムの気持ちはわかるけどな。なんとなくやけど」

 なんとも、我が守護騎士である彼女は他人にも厳しいが、自分にも厳しい。はやては苦笑を浮かべながらも愛しい家族の一人へ拍手を送った。






 アスナが勝った。いや、ちょっと違うか。ティアも微妙な顔してるし。シグナム副隊長がどんな思いを秘めて、負けを宣言したのかは分からない。だけど……シグナム副隊長の笑顔を見ると、騎士の誇りというヤツなのかも知れない。

 やっぱりアスナは強い。最後の逆立ち蹴り。あたしにも出来るかも知れない。だけど、躱された蹴りをスピードを殺さずに引き戻して後頭部を蹴るなんて真似は出来そうにない。アスナの『全身強化』があるからこそ出来る芸当だ。そう……あたしには、()()ね。さて、問題は納得できないのか地面に八つ当たりしているアスナを宥めないと。ティアにも手伝えと意味を込めて視線を送る。

 ティアは苦笑しながら肩を竦めアスナを見た。それにつられるようにして見ると困ったように笑いながら
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