第七話 〜花言葉 〜Language of flowers〜 -花葬-【暁 Ver】
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を聞いたのは、どれくらいぶりでしょうか……あの娘はとても我慢強くて、滅多に泣かないんですがね。私は彼女が泣いてしまうと、どうしたら良いか分からなくなってしまうんですよ」
黒い男はそこまで言うと、全ての表情を消した。どこまでも冷たい視線で男を見下ろす姿は、屈強な男には本当の化け物に見えた。
「だから──── よくも、あんなものを聞かせてくれたな?」
自分に伸びてくる黒い男の手を、他人事のように見つめていた。自分は何処で間違ったのだろう? 自分にとってはいつもの事だった。良い金になるからやった。ただそれだけだった──── あぁ……全く割に合わねぇ。
911分隊の二人があたし達を訪ねて来てから数日が経過していた。その間、アスナが部隊長室へ虫をばらまいたり、八神部隊長が普段利用している公用車をアスナに落書きされたり、八神部隊長のローファーが、シークレットシューズへと替えられていたり。最後の件も八神部隊長のローファーが、アスナのロッカーから発見されたので結局、全部アスナだった。被害は八神部隊長と、なのはさんからありがたいお話を受けたのはアスナなので、あたし達は概ね平和に日々の訓練を熟していた。……少しずつ、壊れていた日常に気づかずに。
『桐生。どう思う?』
「どう……とは?」
桐生はボブに話しかけられたのを合図に、作業をしていた手を止め煙草に手を伸ばした。
『五日前にアスナ達を訪ねて来た人間がいたろう? あの時のことを言っている』
桐生は咥えた煙草に火をつける。
「別に何も。良くある事件じゃないですか。管理局がいくら質量兵器の禁止を声高に叫んだとしても、この世から全ての質量兵器が消えてなくなるわけじゃありません。元地球人の私から見て、管理局の質量兵器に対する反応は些か度を過ぎているような気がします。まるで……あると都合が悪いとでも言うように。だからと言って、質量兵器を持つことが正しいと言っているわけではありませんよ? あんな物は無いに越したことはありませんから」
『抑止力と言うことかい?』
「ですが、無くなったら無くなったでそれに代わるものが出てきますよ、たぶん。……現に魔法だって兵器に転用されてるじゃ無いですか。例えば、大型艦船に搭載されている魔導砲。とんでもない威力ですよ、あれ。科学の発展には兵器は不可欠ですよ、ボブ」
桐生はそう言いながら、紫煙を吐き出し悪役のように笑って見せた。ボブはそれを見て溜息をつく。
『上手く論点を逸らしたつもりだろうが、そうはいかないよ』
桐生は露骨に舌打ちをしながら、『AI』が当たり前のように溜息をついた
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