第二章 [ 神 鳴 ]
二十二話 会戦の狼煙
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由は先ほどの使いの男から聞いた洩矢の言葉のせいだった。
土着神の頂点などと謳われているからどれ程の者かと思えばあんなにも愚かだったとは。あんな単純な挑発に乗る所か態々使いの者まで遣して。
期待を裏切られ怒りと失望が入り混じった気分、実に不愉快だった。そんな神奈子に声をかける人物がいた。
「どうした神奈子?そんな不機嫌そうな顔して、美人が勿体ねーぜ」
声の主は若い男。黒い長髪を後ろで結び、黒い瞳は鋭い輝きを放っているがどこか子供っぽさがある。白いタンクトップに前を空けた紅いベストをつけ黒いジーンズ風の物を穿いている。
「悪いね須佐之男不機嫌なんだよ」
「お?なんだなんだ何かあったのかよ?」
須佐之男は面白い事を見つけた子供の様に目を輝かせながら神奈子に詰め寄ってきた。
「天照様の所で聞かせてあげるよ。報告しなきゃいけないからね」
「そうか、じゃぁ早く行こうぜ。面白い話が聴けそうだ」
そんな訳ないだろう、と神奈子は心の中で嘆息した。
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目的地の天幕に辿り着き神奈子は中にいる人物に声をかける。
「天照様、御報告に上がりました」
「ご苦労様入りなさい」
中から女性が返事を返す。それを聞き神奈子と須佐之男は天幕の中へと入る。
天幕の中では見る者に落ち着きを感じさせる女性が机に向かい書き物をしていた。そしてその手を止め入ってきた二人に向き直る。
腰辺りまである栗色の髪、栗色の目をした神奈子より少し小柄な女性である。紅を基調とした少し袖の長い振袖に薄紫色の羽織をかけ、袴状の朱色のロングスカートを穿いている。
「邪魔するぜ姉貴、神奈子に何か面白い話が聴けるって聞いたもんでよ」
「そうなのですか神奈子?」
須佐之男の言葉を聞いて天照は不思議そうに神奈子を見る。
「いえ恐らく面白くはないでしょう」
そして神奈子は先ほどの事の顛末を報告した。神奈子からの報告を聞いても天照は表情を変える事は無かった。須佐之男は大爆笑していたが。
「我々は少しばかり諏訪の国を過大評価していたようです。態々天照様が御出でになることもなかった」
先ほどの怒りがまだ抜けていないのか神奈子の言葉には棘があった。そんな神奈子に天照は冷静に言葉を返す。
「そんな事はありませんよ。諏訪の国は古き大国、大和の長としてこの戦に出向くのは礼儀でしょう」
「しっかし拍子抜けだなおい。神狩って奴が居るって聞いて楽しめると思ってたのによ」
須佐之男は本気で残念そうにぼやいた。しかし彼の発言に神奈子が反応する。
「須佐之男、何だいその神狩っていうのは?」
「
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