開き出した傷口
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身体に電流が走ったかのように私の身体は固まった。そして思考が完全に停止した。
気がつくと私は化学準備室の部屋に寝ていた。目の前には、割れたビーカーが転がっていた。
散らばっている制服がなんなのかよくわからなくて座り込んでいるとき記憶が徐々に戻っていた。何もかもを思い出しすと、慌てて服を着て化学準備室を飛び出した。
割れたビーカーはそのまま転がっていた。
*
思い出してしまった。この一年、忘れよう、忘れようとしていた記憶。
そのあと、私は化学部に退部届けをだした。好きだった化学も嫌いになって成績も落ちた。
「思い出したかい?」
気がつくと吉川先生が目の前にいた。
あの日同じ時間、同じ場所で。同じことが繰り返されようとしている。
すっと顎を掴まれる。そして…
唇を塞がれた。
気持ち悪い。嫌悪感がわたしの心を支配していく。それなのに…逃げられない。
優しげな顔をした先生が目の前にいて…私はここから逃げられないのか、そう思った。
頭のいいこの人のことだ。きっとこの部屋には誰も来ないのだ。
「知ってた?レポートはね、明日までなんだよ…?」
そういって私のリボンを解いていく。制服が私の周りに散らばっていく。
もう、何も感じない。何もできない。赤い夕日が窓から差し込んでいる。
私は先生のされるがままになっていた。
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