暁 〜小説投稿サイト〜
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King's Pride 王者の威厳
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れば、我は落胆の色を隠せないな。我ら六王は、そんなことができないほどにヤワな存在ではない。そしてもちろん、卿もだ。レンよ」

そうだろう?とばかりに顔を向けてくるヴォルティスに、しかしレンは何の応えも返さなかった。

なぜ、こんな当たり前の事を忘れていたんだろう。

「レン、マイちゃんを――――」

スッ、と手が差し伸べられる。

それを見、レンは強烈な既知感が湧き上がるのを感じずにはいられなかった。

幼稚園児くらいの時、木綿季(ゆうき)と亡くなった紺野藍子(あいこ)とともに、蓮はよく、というかしょっちゅう遊んでいた。しかし一緒と言うが、藍子は深窓のお嬢様といった物静かな雰囲気で、実際性格もかなり大人しいほうだったので、はしゃいで転げまわる蓮と木綿季を見守る保護者みたいな立ち位置だったが。

そんな時、蓮が転んだ時に差し出された手に、似ている。いや、そのものなのだ。

仮想と現実の違いなんて関係ない。

蓮が転んだ時、迷子になった時、泣いていじけていた時。

いつも、差し出される手があった。

いつも、差し伸べられる手があった。

「助けよ」

そう、言った。

懐かしい記憶の中に埋没しかけている木綿季の笑顔とまったく同じ顔で、ユウキという名の闇妖精(インプ)の少女は言った。

その手に向かって差し伸べる答え?

決まっているじゃないか。そんなこと、脳内で思考する手間すらもない。文字通り、小日向蓮という人間にしてみれば、呼吸をするぐらいに当たり前の事なのだ。当たり前すぎて、逆に気が付かないほどの。

だから蓮は、レンはその手にゆっくりと自らの手のひらを重ねた。その時に、目尻にから一粒の煌きが零れ落ちたのだけれど、ユウキは見ない事にしていてくれたらしい。何も言わなかった。

「うん」

こくり、と頷く。

静かに、頷く。

力強く、頷く。

前方には、再び大軍を形成しつつある白き騎士の群。

炎獄(テスタロッサ)》カグラが、音もなく横に並ぶのが分かる。見なくても、分かる。

そんな中で、レンはゆっくりと立ち上がる。いや、別に地面に横たわっていた訳ではないので、それは語弊があるかもしれない。翅を使って横向けにホバリングしていた身体を、ただ単に縦向きにしただけだ。

だが、心は違う。下を向いていた心は、百八十度回転して完璧に上を向いていた。

そうして、四人と一人は並ぶ。

白き守護騎士の大群に、真っ向から歯向かうように。刃向かうように。

傍から見れば、大群を通り越してゾウになっているモノに対してのアリだったのだけれど。身に余るほどの大きな敵に立ち向かう、蛮勇達のようだったけれど。

それでも、見る者が見れば、それは百八十度まったく違う戦況だ
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