最後の今日
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ラスにもう一人おったな…首席ちゃうけど試験で2位だった…なんて言うたかなぁ…」
「こいつ?」
希美がバレないように机に突っ伏していた涼介を指差す。
「…てめぇ…あとで覚えてろよ…」
「えーっと…せやせや!佳川っちゅうんは自分やろ?」
「…だったら?」
流石に降参したのか口を効いた。
「あんたもエライ脳味噌しとるなぁ。落としたの1問だけやろ?」
「…俺のことはいいから首席さんの話しろよ。こいつまともに試験勉強しなかったんだから。」
教室内がざわついた。
まぁそれもそうだろう。全国各地からこの高校を目指して一日十何時間と勉強をして試験に臨むのが普通なのに、希美は涼介の言う通り全くと言っていいほど勉強などしていなかった。
周りが受験だ、やばい、落ちるかもしれないと不安がって机に向かっている間も呑気にカラオケ通いをしていたのだ。
そしてそれを中学の担任に知られて試験直前に生活指導。
だが、周囲の心配を他所に、彼女は試験当日5科目満点を叩き出し文句なしの合格を手に入れたのだった。
「いいってその話は!!!!」
ちょっと照れにも似た叫びを希美はあげた。
ホームルームも終了し、これでもかというほどの大量の教科書が配られた。
もっと大きめのカバンをもってくれば良かったと後悔しつつ、渋々カバンに詰め込む者もいればロッカーに数冊投げ入れて行くものもあった。
希美はというと、「絶対忘れる」との理由で全ての教科書をロッカーに投げ入れた。
「…いいのかよ。予習とかあるんじゃねぇの?」
「予習なんかしなくてもまぁなんとかなるでしょ。」
「これで痛い目見ないから困るのよね。」
「まぁ希美は特別だしねー」
そんな風に4人揃って下校しようかという時、聴き慣れた…いや、聞き飽きた声が飛び込んできた。
「お姉ちゃん…なんでいんの…お兄ちゃんまで…」
校門のところで希美の姉の南と兄の登が怪しい笑みを浮かべて待ち伏せしていた。
南も登もここ東高校の3年生と2年生である。
「あんた、入学式派手にやらかしたわねー。もう全校中の噂になってるわよ?”とんでもない1年がきたー”って。」
「ありゃぁ誰だって引くよなぁ。1年目でその格好じゃ…俺も引くわ。」
「あのねぇ、お兄ちゃんはともかくお姉ちゃんには言われたくない!」
「あら、生徒会長様に向かって随分じゃない。」
「その生徒会長様が金髪ってどうなわけ?」
南は2年前、希美と同じく主席で東高校に入った。
今まで受けたテストは全て満点、運動神経は抜群。
高身長でそれなりの美人。ミス東高校にも選ばれた。
才色兼備の生徒会長として今現役を勤めている。
だが
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