第六話 〜花言葉 〜Language of flowers〜 -初花-【暁 Ver】
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似ているのだ、あの『三人』は。自分達と。
「……うるせぇ、だまれハゲ」
「禿げてないよ。アスナは昔から何かにつけて禿げって言うよね」
「……若いうちから、そんな髪のいろしてたらハゲるにきまってる」
「地毛だって言ってんだろ」
「二人とも五月蠅いっ」
「……おこられた」
「え。なに、お前が悪いみたいなその顔。殴りたい」
御堂の失踪事件から皆が徐々に立ち直り始め、そろそろアスナが六課の愛玩動物のような扱いを受けつつあるのをフォローするか、スルーしようか。それをあたしが悩み始めていた今日この頃。あたし達は、そろそろ『今日』が『昨日』へとジョブチェンジしようかという時間まで貴重な余暇を楽しんでいた。
訓練校にいた頃もこうして部屋に集まっては雑談に花を咲かせていた。だからと言ってあたしの部屋で騒ぐのはいただけない。六課の女子職員寮は作りも確りとしているが万が一と言う事もある。そうなった場合、アイナさんに叱られるのは勘弁して欲しい。とばっちりはご免なのだ。その時。リスが餌に齧り付いているような仕草でクッキーを頬張っているアスナを見てあることを思い出した。
「アスナ? 中庭でなんか始めたって聞いたけど」
「……花壇をつくって、花をうえた」
「花?」
「……すずらんな。花ことばは『幸福の訪れ』、『幸福の再来』、『純血』、『純愛』」
珍しく饒舌なアスナに驚いた。誰の影響なのかはわからないが、確かにアスナは花が好きだった。あの頃も教官の許可を取って何かしら植えていたのを思い出した。だが、花言葉まで詳しいのは知らなかった。
「花言葉って聞いた事あるけど、何の意味があるんだっけ?」
「……花ことばは、花のなまえに対して意味を持たせること」
素直に感心した。それにしても……花の名前に意味、ね。残念ながら花に詳しくもないし、それほど興味はなかった。今もこんな時間にお茶菓子を食い散らかしているスバルは完全に食い気だ。
「ま、頑張んなさい」
彼女は糸の切れた人形のように頷くと、再びクッキーを咀嚼する作業に戻った。
あたしがそろそろお開きにしたほうが良いかと思った時。控えめな三回のノック音が響く。こんな時間に来客はないだろうし、まさか騒いでいた苦情だろうかと考えた。急いで立ち上がりドアのロックを解除するとフェイトさんがひょこりと、顔を覗かせた。彼女は三人揃っていたのに少々驚いた様子ではあったが、すぐに気を取り直したようで用件を口にする。
「あ、スバルもアスナもここにいたんだね。良かった。はやてが呼んでるの。こんな遅い時間に申し訳ないんだけど……」
フェイトさんは本当に申し訳なさそうに形の良い眉をハの字にした。
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