導入編
覚醒
導入編 第二話 rain
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て、それは置いておいて現状分析を始めよう。
まず、この部屋について
椅子やベッド、ロッカー等から推測するに、ここで生活していたのは五人、殺害した人数と一致する。
また、最初の部屋は外からだけカギがかかる様に改造されていた。監禁部屋と考えて良さそうだ。
加えて、丸一日たっても何者かがここを訪れたような形跡はない、あれだけ銃声を鳴らしたのに警察が来ていない。
台所は無いが、電気は通っていて上下水道も整備されており、トイレは洋式だった。
窓からは海と港、そして倉庫が見える。
部屋に充満する血と臓物のかおり、臓物の臭いには多少の不快感を覚えるが食欲が失せる程でもない。
殺人に罪悪感をいだいていない事に自分の知識とから違和感を感じる…なら次に私は誰か。
髪は栗色だが人種はモンゴロイド、年齢は…おそらく9から10才程度、第二次性徴はおそらくまだ始まっていない。
つまり誘拐犯たちはペドでドSな変態強姦魔だったわけだ…ああ、性別は女だ、念のため。
習得言語は英語と日本語、共に問題なく意思疏通が可能(むしろスラングも理解できそうだ)
他はドイツ語やフランス語に断片的知識がある(片言以前のレベルだが)
そして名前を含めたエピソード記憶が殆ど思い出せない。だが記憶喪失と言っていうかは疑問が残る。
無理に思い出そうとすると先ほど夢で見た「私ではない私」が泣いているイメージしか浮かばない。
わずかに思い出せる(両親が殺される少し前からの)記憶の断片と知識の片寄りから日本在住である可能性が極めて高い。
平和らしい国の子供には一連の体験は(私のやった事を含めて)耐え難かっただろう。
…つまりは過度のストレスによる人格の分離により私が産まれたのだろうか。
そう考えると殺人をいとわない性格も納得だ、最初からそういう事をする為に生まれたのだから。
さて、名前を決めよう…思い出せない名前の代わりに今の私に相応しい名前を決めよう。
ふと雨が止んでいる事に気付く。
…そうだ、どこか懐かしい響きの雨を名乗ろう。
それは私が捨て去った涙の代わり
それは私が降らせるであろう血を表す
それは喪った名前の代わり
それはいつか私が消え去る事を忘れぬように、止まない雨は無いのだから
私はレイン、そうrain(雨)だ。
『レイン?』
朝食にホットドッグを食べた後、街を探索していると向かいから知った顔が英語で声をかけてきた。
『マナ、どうしたんだこんな街で』
パチンと指をならして念のため、簡易ながら会話内容に認識阻害をかける、こいつは私と同類だからな。
彼女はマナ・アルカナ、背の高い褐色肌の私と同い年くらいの少女で
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