暁 〜小説投稿サイト〜
『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』
第三十九話
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
掛かるでしょう。もう一つは潜水艦の性能です。伊号潜水艦は騒音が激しいようで、ドイツに派遣したりして潜水艦のいろはをもう一度学ぶ必要があります」
「確かにな……ドイツは第一次大戦でも通商破壊を敢行していた。我々もドイツのエムデンを追っていたな」
「その通りです。我々の艦隊決戦である漸減作戦が破綻した以上、大型艦艇の建造日数が多い我々の技術力では到底対米戦は完遂出来ません。逆に負け戦になるでしょう」
「……となると、我々は艦隊決戦思想や航空決戦思想でもなく潜水艦隊決戦思想を持つべきだと?」

 永野総長の問いに山本は苦笑した。

「いえ、あくまでも航空決戦思想です。パイロットの育成等課題はありますが、潜水艦を現状より強化するのが目的です」
「……良し、その方向でやってみよう。まずは潜水艦をドイツに派遣せねばならんな」
「第六艦隊の清水中将によれば十隻くらいまでなら送れると言ってますよ」
「流石に十隻は多いだろう。四隻で妥当だな」

 三人はそう会談をし、海軍は潜水艦隊の増強に乗り出したのであった。


「お久しぶりですピニャ殿下」
「此方こそお久しぶりですヨシダ大使」

 ピニャはお供を連れて翡翠宮を訪れていた。そして吉田茂と面会をしていた。

「今度こそは締結に向かいたいものですな」
「えぇ。それは此方も同じです」

 日本は帝国と事前交渉をしており、具体的な交渉内容まで行っていた。日本側の主張は賠償金、領土の割譲(アルヌス一帯)、銀座事件責任者の処罰であった。
 帝国側もほぼ日本側の主張を受け入れる方針であったが銀座事件責任者に関しては抵抗していた。
 銀座事件責任者は侵略開始を命令したモルト皇帝であり、モルトが日本で処罰されると帝国の権威に怯えていた周辺の属国が反旗を翻すと恐れていたのだ。
 日本側も「次の皇帝を立てればいい事であり、我々には関係無い」と帝国側からの責任者処罰の取り消しには応じてなかった。
 そのため、交渉は此処で停止する事が多かったのだ。それで二人は上記のような台詞を言っていたのだ。

「今日は長旅の疲れをゆっくりと癒して下さい」
「そうさせてもらいます」
「それと、つかぬこと聞きますが……摂津殿はおられますか?」
「はい、彼には護衛隊の一員として帝国を知っている人物として我々と同行しています」
「……少しだけの時間、彼を貸してくれませんか? どうしても助けてほしい事があります」
「……判りました。何日でも貸しましょう」

 吉田は承諾した。吉田も何かを感じ取ったのだ。直ぐ様樹は吉田は呼ばれてピニャと共に同行する事になったのであった。



[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ