第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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する――
「のろのろしてんじゃねえぞテンテン先輩!」
マナの捨て身の体当たりを受けて、テンテンは地面に転がった。その体が二メートルほど地面を削る。体当たりしてきたマナを抱きしめながら、テンテンは呻き声を上げた。ちりちりと焼かれるような痛みに擦りむいた肌が悲鳴をあげる。左の米神から汗が流れたかと思ったら、血だった。
「のろのろ、してなんか……っぐ!」
それでも先輩としての意地を張って言いかえそうとするテンテンだが、額を襲う痛みに顔を顰めてしまう。ったく、と悪態をついてホルスターから水を取り出し、テンテンの傷口に注いだ。サンカの二発目の攻撃をすんでのところで避け、テンテンに包帯を投げてよこすと、彼女はさっさとそれを巻いた。振り返ると、サンカが投げた二つの岩は地面に大きな亀裂を残して砕け散っている。
「なんて馬鹿力なの……」
「改めて紹介をさせてもらおうか。私の名前はサンカ――赤頭のサンカよ!」
赤頭のサンカ。なるほど通りでぎらぎら輝く赤毛なわけだ。
赤頭というのは怪力をもう妖の一種だ。五寸釘を素手で、そして指一本で抜いたりさしたりすることが出来ると言われている子供の妖。もしサンカがその赤頭の末裔ならば、岩を軽々と持ち上げ投げ飛ばすことが出来るのにも説明がつく。
「赤頭――だと」
「……わたしは、青行燈のミソラ」
青行燈のミソラと名乗る少女が、サンカの傍に立った。長い黒髪で、頭の両側からは黒い角が生えている。にこりと笑った時に見えた歯も真っ黒だった。白い着物を纏った鬼女――伝承にある青行燈と同じ姿だ。
――なるほど、赤頭と青行燈が私とマナの相手ってわけ? 受けてやろうじゃない。
クナイを軽く回転させる。赤でも青でもどうでもいい。わかっているのは負けられないということだ。
「いきますよーテンテン先輩っ!」
+
「用はお前のチャクラ網を解けばいいってことだろっ!?」
藍色の髪をポニーテールにした少年の踵落としに一瞬怯むユヅルだが、しかしそのかかと落としはクロスさせられたリーの両腕によってせき止められる。チッ、と舌打ちを零して少年は一歩後ろに飛びのいた。その傍に明るい茶髪の少年が立つ。
「ユヅルくんには指一本触れさせませんよっ!」
「ほー。そりゃー大した自信だなっ!」
地面を蹴り飛ばして、回転蹴り。しかしそれを受け止めたリーは、その足を突き放すのと同時に彼の上体めがけて強烈な蹴りを放った。それに反応して体を屈めるポニーテールの少年にすかさず下から蹴りを飛ばす。“木の葉旋風”――一発目の蹴りをフェイクとし二つ目を当てる木の葉の体術だ。
吹き飛ばされた彼を追って跳ね上がり、彼の上を取る。ハッと彼が目を見開くが時既に
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