第五話 〜アスナが機動六課に行くお話【暁 Ver】
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知ることになるが、『気』の応用なのだ。『あの世界』からやってきたアスナは、生物ならば当たり前に持っている『気』と呼ぶエネルギーの扱いに長けていた。『気』は指紋や虹彩と同じように千差万別で同じ物がなく、人間が持っている『気』は他人の『気』と無理に干渉させると不快に感じることがある。
アスナがやっているのは、自分の『気』を一気に解放することにより相手の気と干渉させて『圧力』をかけているのだ。高町なのはが割と平気な顔をしているのは、父を初めとする家族が武道家で、幼い頃から『気』に触れる機会が多く耐性が出来ているのかも知れない。武道家という人種は知らず知らずに使っている場合が多いのだ。
はやては、子供組の二人が青い顔をしているのを確認すると、表情を厳しくしながら模擬戦の決着を確認するために戦場へと意識を集中させた。
オレは心の中で罵倒していた。目の前にいる女ではなく、自分をだ。雰囲気が一瞬にして変わった。少しでも気を抜けば意識ごと持っていかれそうな威圧感。だけど、オレは負けられない。負けるわけにはいかないんだ。オレは最強でなければならないんだ。だって──── そうじゃなきゃ、全てを投げ捨ててしまった『オレ』の意味なんてなくなるじゃないか。
模擬戦開始の合図と同時にやる気なさげにオレに向かって走ってきた女は、一瞬姿がブレたかと思うほどのスピードで一気に距離を詰めた。オレも『瞬動』を使い距離を取るが──── 意味など無かった。女は既ににオレの前にいて……目に映ったのは、女が俺に向かって跳躍した姿だった。
女は跳び後ろ回し蹴りを放ち、咄嗟に左腕でガードするが、冗談のような衝撃と共に左腕が逝く。オレは必死に痛みに耐え、右手に握っている刀に炎を纏わせると、女を切るべく横なぎに獲物を走らせた。だが──── 女はオレの左腕を砕くと同時に空中で体を独楽のように回転させ、オレの側頭部へ回し蹴りを叩き込んだ。奥歯を噛みしめ、意識が飛ぶのを何とか堪える。
────── 負けたくない
オレは虚空から一振りの刀を取り出し、空へと逃れる。速さと力は尋常じゃないが、スバルと同じスタイルだ。つまり──── 空からなら勝てる。
迷うことなく刀身に氷龍を纏わせると、それを地上で為す術がなく俺を見上げている女に放った。氷龍は廃ビルにぶち当たり轟音と共に──── 待て。なんだ? おかしい。何がおかしい? 『廃ビル』──── だと。俺は地上にいる女へと放った筈だ。俺が慌てて地上を確認しようとしたその時、背後に気配を感じ振り返ると──── 女がいた。
なんで『陸士』が、空に……空戦適正はないと聞いていたのに。
「おまえは……なんだ?」
声が震えているのが、わかる。女はまるで答えない。
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