第五話 〜アスナが機動六課に行くお話【暁 Ver】
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たし、馬鹿にしたつもりもなかった。闘えと言うのなら闘うだけであって、相手は誰でもよかったのだから。だが、結果的にアスナの言葉が、御堂の闘争心に火を付けることになった。『貰い物』の『力』であるが故に、それを使うことに躊躇いなどなかった。だから、彼は誰よりも強かったしプライドも高かったのだ。そして、この模擬戦が。彼を否応なく追い詰めることになることを誰も気付いてはいなかった。
機動六課が誇る訓練場──── 陸戦用空間シミュレーター。そこにアスナと御堂は立っていた。地面が剥き出しで、ぽっかりと空いたスペースの周りには崩れかけや年代物のビル群が建ち並んでいる。どうやら『廃墟』という設定らしい。アスナは物珍しげに周辺をきょろきょろと見渡し『相棒』へと問いかける。
「……『ゾーン』とにてるな?」
『再現率はあまり変わらないね。規模は『ゾーン』が上だが、こちらの方が汎用性は高そうだ』
アスナが辺りを見回していると、一棟のビルの上に見知った顔とあまり知らない顔が何人か確認出来た。あの場所で見学するつもりらしい。
「シャーリー、映像と音声の記録。その他解析頼むで……もしかしたら、おもろいものが見られるかわからん」
はやてはシャーリーに指示を出すと同時に、二人にも指示を出した。シミュレーター内に彼女の声が響き渡る。
『ほんなら二人ともバリアジャケット展開。準備ができたらすぐ始めるで』
御堂は思い詰めた表情を浮かべながらも首元のチョーカーを指でなぞる。
「『黒鉄』、セットアップ」
『All right. SetUp』
十字架を摸したチョーカーが光るとバリアジャケットが展開された。黒のインナーに黒の皮パンツ。黒のブーツ、とどめには腕に黒のベルトが巻かれた黒いロングコートと全身黒ずくめだ。デバイスはどうやら日本刀らしい。その黒一色の姿に兄を連想させられ、アスナは神経を苛立たせた。
「……ボブ」
『OK。……Expand the Start』
「……インテリジェントデバイスみたいだけど、AIとデバイスの名前は別なの?」
フェイト・T・ハラオウンが首を傾げながら、疑問を口にする。はやてがそれを聞くと、困ったようにティアナとスバルを見つめた。知っているのなら教えて欲しいと言う事らしい。どうやら、解説役にするつもりらしかった。確かに二人はここにいる誰よりも、桐生アスナという少女を知っている。『フラッター』や『ボブ』に関しての知識は持ち合わせていた。解説役としては適任だろう。
<……何を見てらっしゃるんでしょうか?>
<桐生さんがおらん時はティアナが保護者やろ? 説明し>
<スバルは>
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