第五話 〜アスナが機動六課に行くお話【暁 Ver】
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む。
『桐生は煙草の本数も減らした方が良いね。百害あって一利なしだ』
「嗜好品は百薬の長とも言いますよ?」
『それは『酒』じゃなかったかな、桐生』
桐生は口をへの字にしながら肩を竦めて見せた。
『そう言えば、桐生。あの時、なぜミス・八神へ日本語で話しかけたんだい?』
「随分と唐突ですね……あの時に言いませんでしたっけ? 懐かしかったって」
『アスナが普段家にいる時は、日本語で会話してるじゃないか。理由としては些か弱いと感じる』
「……痛く無い腹を探られるのであれば、さっさと探って貰った方がいいですからね。聡い方のようですから、あの時の会話で私が次元漂流者であることは印象付けられたはずです。私とアスナとの関係性もね。後は向こうで調べるでしょう。秘密にしているわけではないですが、大っぴらにしたくないのも事実ですから」
『人間は面倒な生き物だね』
「ええ、だからこうして今も気苦労が絶えないわけですけどね。……『フラッター』のカメラをチェックしておいて下さい。こちらへ送信する際の暗号化レベルは最高で、決して悟られないように。意図的にジャミングされているようであれば、解析をお願いします。無理ならば……後で送って貰いましょうか」
『了解』
少女は日差しを浴びて光り輝く隊舎を少しだけ眩しそうに見上げていた。玄関には『Administrative bureau Lost Property Riot Force 6』と刻まれた金属プレートが誇らしげに掛けられている。汚れ一つ無いそれは、ここに設置されてから間もないのだと雄弁に語っていた。
少女はひどく場違いなところへ来てしまったように感じて、自分の服装を見やる。黒のタンクトップにネイビーグリーンのカーゴパンツ。足下には履き古されたスニーカー。頭には少女の暖かい色をした髪を隠すように黒の皮キャップを被っていた。おおよそ年頃の少女らしからぬ格好だが、胸に留められた天使をデフォルメした可愛らしいデザインの『PINS』が、唯一女の子らしかった。
このまま帰ってしまおうかと考えていた時に少女を先導していた女性が、怪訝そうな顔をしながら少女に声を掛けた。
「アスナちゃん、どないしたん?」
アスナと呼ばれた少女は無言で首を振る。
「さよか。……お腹でも痛いんか? それともお腹が空いたん?」
幼児にでも話しかけるような口調が、少々腹立たしかったがアスナは何も言わなかった。
「もうちょい我慢してな? ロビーにはもうみんな集まってるやろうから……」
はやてが微笑みながらアスナにそう言ったとき、廊下の向こうから一人の快活そうな少女がアスナに走り寄り勢いよ
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