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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九十九話 終焉の地
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した。彼らは和平を結ぶにも改革を行うにも邪魔です。その始末を同盟軍にお願いしたい、ブラウンシュバイク公はそのように考えています。本来なら帝国軍が行うべき事です。しかし残念ですが帝国軍にはその力が無いのです」
トリューニヒト国防委員長が息を吐いた。
『随分と虫の良い依頼ですな。和平を結びたければ連中を始末しろ、そう仰るのですか』
「虫の良い願いだというのは分かっております。しかしくどいようですが我々が和平を結びこの宇宙から戦争を無くすには彼らの存在は邪魔です。帝国はルドルフ大帝の負の遺産を切り捨てたい、そう考えているのです」
トリューニヒト国防委員長が唸り声を上げた。
『しかし貴族達が攻めてくれば主戦派を勢い付かせる事になりかねん。……ヴァレンシュタイン中将、君はどう思うかね?』
「例のレベロ財政委員長が請け負った調査依頼ですが結果は如何なのでしょう?」
『あれか、事実だったようだな』
はて? と思った。二人とも私には分からない話をしている。ミハマ中佐も不思議そうな表情だ。いやトリューニヒト国防委員長も訝しげな表情をしている。ここで問われるのは想定外だったか。
「となると、後は送り主と本当の受取人の繋がりを暴くだけだと思いますが……」
『それはそうだが……、何を言いたいのかね?』
「貴族達にはフェザーン回廊経由で同盟に攻め込ませてはどうかと思うのです……」
『フェザーン経由で? ……なるほど、そういう事か……』
トリューニヒト国防委員長が唸り声を上げている。
「帝国も同盟も全部纏めて邪魔な連中を潰しましょう。一気に仕上げにかかるべきですよ」
『……分かった、他の連中にも話してみよう。レムシャイド伯、我々の正式回答にはもう少し時間を頂きたい』
「分かりました、ところで今の話だと攻め口はフェザーン回廊の方が宜しいのかな?」
『多分、そうなるでしょうがそれも含めて回答します』
「分かりました、良い返事をお待ちしておりますぞ」
トリューニヒト国防委員長が頷いた。
『ヴァレンシュタイン中将、済まないが後で連絡する』
「分かりました、お待ちしています」
通信が切れてスクリーンが真っ暗になった。ヴァレンシュタインに視線を向けると彼が肩を竦めた。
「ま、なんとかなりますよ」
「そのようだな」
「但し、始末料は頂きますよ、レムシャイド伯」
含み笑いをしている。嫌な予感がした。
「あまり高額にはしないでくれ」
ヴァレンシュタインが声を上げて笑い出した。
「けちけちしないでください。貴族達を始末すればその財産だけで帝国の財政は改善します。平民達の鬱憤も解消する、帝国の抱える問題の半分くらいは解決したも同然ですよ、そうでしょう?」
「……まあそうかもしれん」
「おまけに自分の手は汚さない」
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