第二十七話「ソレンス/ブランクの思い」
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………………………………………………………フィン?
嘘だ。そんなわけがない。
担架の上には、間違いなくフィンの遺体が乗せられていた。
いつも笑っていたその顔は無表情に近く、うっすらと目を開けたまま息絶えていた。
顔も身体も血にまみれ、どういうわけか右腕が無くなっている。
「すまない……右腕は、回収できなかった………」
担架を運んでいた兵士が、ソレンスに謝ってきた。しかし、ソレンスは何も言わずにフィンを見ている。
「……………フィン…………一体、何が………」
ソレンスは、担架を運んでいた兵士の両肩を掴み、感情のままに質問をぶつけた。
「教えて下さい!フィンを、俺の友人を発見した時の状況を!」
それを聞いた兵士は、ひどく悲しそうな表情を浮かべた。
「そうか…………君は、彼の…………」
「突然変異種を探していた時に、偶然息絶えていた彼を発見したんだ。既に右腕は無くなっていた。
近くに突然変異種の死体が2体転がっていた。それを見て察したよ。彼はたった一人で突然変異種を
相手に戦って…………」
「そんな…………」
すると、兵士がポケットから何かを取りだし、ソレンスに手渡す。
「彼の友人なら……これは君が持っているべきだ」
兵士がポケットから取り出したのは、2枚の写真だった。
2枚の写真を大事に受け取った。
1枚目は…………家族の写真だろうか?
写真の真ん中には、少し老いた女性と小さな男の子が写っていた。
母親と弟だろうか?写真の2人は、穏やかな笑顔を浮かべていた。
………………なんで家族を置いて……死んだんだ。
泣きそうになったが、涙がこぼれる前に2枚目の写真を見た。
「………………………ッッ!」
2枚目の写真を見た瞬間、堪えていた涙が溢れてきた。
訓練生の頃に撮った集合写真だった。
ソレンスも、ユニも、オルテガも、フィンも写っていた。
全員が輝かしい笑顔を浮かべて写真に写っていた。
オルテガとフィンが肩を組んで、ユニがソレンスの後ろに恥ずかしそうに笑っていた。
「彼は、残った左手でこの2枚の写真を、大事そうに持っていたよ」
涙がこぼれる。
涙が溢れる。
写真を震える手で大事に持ったまま、フィンの遺体の前でソレンスは声を上げて泣いた。
「くっ………うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁ!!」
ーーー同時刻
覚醒兵2人と、ブランクが作戦本部に到
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