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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第三章:蒼天は黄巾を平らげること その3
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春蘭、そして仁ノ助こそがその勇壮なる猛者よ。彼らの猛攻によって敵の先陣を瓦解せしめ、戦線ーーーあってないようなものだけどーーーそれを蹂躙した。前から逃げてくる者と、後詰として前進する者がぶつかり合い、敵は混沌の極みに達した。
 そしてそこで二つ目の動きが起こった。そう、我等が誇る中原一の射手、夏候妙才が敵将を見事に射抜いたのよ。秋蘭、あなたのような人を味方とできる事を、改めて嬉しく思うわ」
「いえいえ。あまりに図体ばかりがデカい的でしたので。あれ程にとろいと知っていれば、戦端が開いた同時に()る事ができたでしょう。そうすれば華琳様のお褒めの言葉を、もっと早くに聞けたかもしれませんが」
「欲張りはいかんぞ、秋蘭。私もこの前、欲を張って肉まんを余計に食べたが、喉が詰まった死にかけた。うん、人間ほどほどに謙虚になるのが一番なんだ」
「肉まんと戦場を一緒に考えるなんて、これだから馬鹿猪は・・・」

 戦後とは思えぬほどの緊張感の無い会話と、それを黙認する曹操。しかし錘琳はこの上なく安心したように感じていた。この軍に参陣して月日は浅いが、これが自分達のやり方なのだと理解していたからだ。どこの軍でもやっているかもしれないが、殺伐とした空気になるよりかは遥かにましである。
 曹操が口上を続けんとすると、諸将はそれを察して口を閉ざした。

「他の者達もよくやってくれた。曹洪はよく仁ノ助を補佐し、曹仁と詩花もそれぞれの大将を守り抜いた。桂花もよくやったわ。あなたが効果的に策を提示してくれた御蔭で、多くの兵達が無碍に命を散らす事無く、合戦を生き延びた。
 皆、大変御苦労であった」
『はっ』

 拳を重ねて礼を返す。曹操は仁ノ助に目を遣った。

「それで仁ノ助。戦場で孫堅を救出したというのは本当なのかしら?」
「ああ。敵中の奥にまで進出して、そこで退路を阻まれたんだろうな、孤立無援の状態に陥っていた。よく戦っていたよ」
「・・・曹洪、発言を赦します。彼の発言に嘘偽りはないわね?」
「はっ。孫堅殿は配下の兵らしき者達、二名と共に戦場に孤立。騎馬で突撃を敢行した後、馬をやられて身動きが取れなくなったものと見えたため、私が仁ノ助殿に判断を仰ぎました所、救出するとの仰せを受けて馬を用意した次第です」
「成程。虎にしては迂闊な真似をしたようね。雑兵をたらふく食らおうとして、逆に彼らの巣に突っ込んでしまったのかしら」
「ふんっ!出過ぎた真似をするからそうなるのだ!私ほどに卓越した戦術眼を持ってさえいれば、そのような愚行をせずとも敵を容易く討ち果たす事ができると悟れただろうに」
「猪武者が何言っているのよ?あなただってかなりの勢いで進んだじゃない。此方との連絡線が寸断されるあと一歩のところまでね。どっちもどっちよ。単純思考な馬鹿ね」「なんだと!?」
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