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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第三章:蒼天は黄巾を平らげること その3
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時、相手の鬼気迫った顔が突如として二つに割れた。どこからか飛んできた一振りの剣が寸分違わずに当たったのだ。中々に壮絶な光景に思わずぞっとしてしまう。
 絶句する彼に向かって一人の美女が近付いてきた。スリットの艶やかな赤い衣装に身を包み、孫堅を若くしたような凛然とした顔立ちであった。

「あら。彼が母様のいう男?」 
「その通りだ。分かるだろう?」
「・・・ええ。確かにそっくりだわ。特にあんな風に、酷い光景を見て絶句するところとか。あの人、あれで結構臆病な性質だったからね」
「・・・いろいろ言いたい事があるんだが、まず何よりも聞きたいのは・・・あなたがアレをやったのか?」
「ええ。お気に召さなかった?」「するか。ちょっと顔を掠めたんだぞ」

 「あら、失礼」とばかりに、孫策は可愛らしく舌を出して続ける。

「丁寧に自己紹介したいところだけど、そうも言ってられないわ。今は名前と顔だけ憶えて我慢してね。私の名は孫策、字は拍符。いずれは江東より自らの軍旗を掲げる者よ」
「・・・ここまで予想通りだと、もう驚く気すらわかないよ。母親に似て美人だな、孫策殿」
「くくっ。聞いた、母様?初対面の人間に口説かれたわよ?しかも母様がいたく気に入っていた男性から」
「へ!?」「全く、この馬鹿娘め。無粋な真似をしてくれる・・・」
『あんた達!何やっているんですか!』

 遅れて戦場に飛び込んできた曹洪が、刀の血脂を払って近付いてくる。後ろには二頭の馬が随行していた。

「馬を用意しています!!こちらへ!!!」

 それは孫策と黄蓋に対しての言葉であった。黄蓋は弓を放ちながら用意された馬に近付いて、慣れたように手綱を捌いた。孫策はまだ興味深そうに仁ノ助を見詰めていたが、それを許すほど状況は優しいものではないと思い直して黄蓋とは別の馬に乗る。
 まだ残っていた孫堅は、馬上でクレイモアを振っていた仁ノ助に駆け寄ると、そのの後ろへとひょいと乗った。

「おい、孫堅殿!?」
「頼むぞ青年。戦場を突き抜けてくれ。・・・それと、私の事は嵩蓮と呼べ。これは命令だ」

 傲岸不遜に述べた彼女に溜息が漏れそうになる。
 仁ノ助は真っ直ぐに繰り出された賊の槍の穂先を切り落とすと、刃を反転させて首筋へ滑らせんとする。ひぅと悲鳴をあげる賊はこれを見事にかわしたが、次に打ち込まれる南海覇王によって頭蓋を両断され、夥しい血流を流していった。
 狩りにも飽きた様子の孫堅は、仁ノ助の胸に手を回して体を固定する。これから再度敵中を駆け回るために馬は足を速めるだろうから、それに備えて体を振り落とされないようにする対策なのだろう。だが背中に圧しつけられる女性のふくよかな象徴にどうしても意識が向いてしまいそうになる。彼女の豪胆さを示すかのような大きな果実が、外套越しに
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