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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第三章:蒼天は黄巾を平らげること その3
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おるぞ」

 黄蓋の言葉は、この状況に至るまでの経緯を咎めるようなものであった。
 朱儁軍の騎兵の一部を率いていた孫堅は真っ直ぐに賊軍に駆け入ると、これを縦横無尽に荒らして、正に鬼神の如き活躍をしていた。しかしその攻撃の性急さのあまり退き時を誤ったのだろう。官軍本体との連絡線を雲霞のような物量で絶たれた後、馬上で手綱を扱っていたところをを矢で射掛けられて落馬してしまい、彼女を守るように付き従っていた二人が共に下馬してしまった。かくして周囲に、骸の山が築かれる現在に至っていた。
 賊を斬って血飛沫をかわしながら、孫堅は戦場には似つかわしくない、情欲的な女の顔で答えた。

「長社の戦いの後に知り合った男が居てな。そいつが夫の若い頃にとても似ておったのだ。私を獰猛な猛獣から一人の女へと変えた、あの人に似ていた。思わず胸が高鳴って、『いつか助けになる』と約定を交わしてな・・・」

 後ろから迫る髭面の男を振り向きもせずに頸を斬り飛ばす姿はさながら修羅のようである。しかし顔に浮かべるのは戦士の顔ではなく、やはり男を想う女性のそれであった。

「雪蓮、祭。今回は全面的に私が悪い。私はあの男にそそられてしまったのだ。あいつを想うあまり、こんなふざけた状況を招いてしまった。侘びと言っては何だが、敵を一人でも多く倒す故、許してほしい」

 彼女はそう言い放ち、自らの無謀が男への思慕がためと称して笑い飛ばした。孫策は久方ぶりにみた母親の女性の顔を見て、驚きを隠せずにいた。
 彼女の父、孫堅の夫は末娘である孫尚香が生まれてすぐに、流行り病に罹って亡くなっていた。思い出に微かに残る彼は、優しく、そして一族のために懸命になる父親でもあり、孫堅もそれを愛おしげに見つめていたのが印象的であった。彼が消えて以来、孫堅が女の顔を封じ込めていたようだが、今をそれを浮かべている。どのような男に遭ったのだろうか。それ程までに父親とそっくりな男なのだろうか。思わず興味がわいてくる。
 腹から溢れそうになる腸を押さえんとしていた賊に、丁寧に止めの一刀を振るうと、孫策はぽつりと零した。ただしぽつりと言っても、母親や黄蓋が聞こえるくらいの大きさであったが。

「母様だけが独占するなんてズルいわ。ねぇ、今度でいいから私にも紹介してよ。どんな男なのか知りたくなってきたから」
「おい馬鹿娘。あれは私が目をつけたのだ。決して手を決して出すんじゃないぞ?お前はまだまだ生娘でいいのだ」
「何よそれ。私だって立派に一軍の指揮官となれるわ。ただ母様がまだ上に立っているから従っているだけ。いずれは蓮華もここに上がってくる。母様こそさっさと引退しなさいよ。これからは私の時代よ。中原もその男も、いずれ私が奪うから」
「何を言うか。生意気な口ぶりが直らぬ内は私の兵は任せられん。だいたい男の一
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