第15話「京都―決戦@」
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修学旅行は3日目の朝を迎えた。
今日は各班行動完全自由日。なので、どの生徒もテンションが高い。ロビーで大声を出している生徒もいれば、今にも走り出そうとウズウズしている生徒もいる。
そして実はタケルも。
「……ぶらりと歩き回るか」
いつもの制服の格好で、だがいつもより若干高めのテンションで裏口に回る。
正門から出ないのは、生徒達についてこられると困るからだ。
別に何かあるわけではないが、やはり生徒と行動を一緒にするというのは、先生という立場からして公私混同のように思えて気が引ける。
決して多人数で行動するのが面倒だからではない……多分。
ちなみに、本当は正面玄関から出ようとしていたのだが、3−A生徒達の中には
「誰と行く?」
「やっぱり、ネギ君とタケルさんどっちも?」
「あ、それいいね!」
などと嘯いている班もあったので、急遽正面突破はやめたのだった。
スニーカーに見えなくもないガンツスーツのブーツを履き、立ち上がる。ただの散歩でスーツを着込むのは単に習慣だからというわけでもない。
「――迷っても、少しは大丈夫だな」
というわけだ。
さすがに迷子常習犯なだけあって、わきまえている。
「あれ?」
不意に後ろから声が聞こえた。
「……ネギ」
なぜ、ここに? とは言わなかった。一人で裏口に回っているということは彼もまた生徒との行動を避けたということになる。
それはタケルのように教師という立場として、というわけではないだろう。昨日は5班の生徒達と共に行動していたからだ。
――となると。
ネギの珍しい私服姿に目を配る。全体的に動きやすい服装、背中には杖、肩にかけたポシェット。
――……親書か。
学園長から『東西の協会の仲直りのための親書をネギに持たせたので宜しく頼む』と言われていたことを今更になって思い出した。
――……散歩が。い、いやだが学園長じきじきの命令に背くのはさすがに……いや、だが折角の修学旅行に……しかしやはり学園長の……――
「た……タケルさん?」
バカみたいに悶々と考え込んでいると、ネギが心配そうな顔をしていることに気付いた。その顔に、タケルな深々とため息をつき、尋ねる。
「……親書を届けるのか?」
「……え」
「なんでそれを旦那が?」
驚くネギとネギの肩に乗っているカモに、タケルは「俺も行く」と諦めたように呟いたのだった。
「あれ……? 朝方このへんでアスナさんと待ち合わせの約束したんだけどなぁ……」
「少し遅れているだけだろう、気にすることでもない」
周囲をきょろきょろと見渡して落ち着きのない上にな
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