第15話「京都―決戦@」
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先生、目的地はどこなの?」
「案内するですよ」
「え……いやーー」
歩き出して約10分、騒がしくも会話を交わす彼女達を尻目に、タケルは奇妙な感覚を覚えていた。
――おかしい。
誰かに見られているような、そんな気配。どこかで感じたことのあるような気配に、頭を捻ること数秒。すぐに思い当たった。
――フェイトか?
だが、それにしては妙だった。
昨日に別れたばかりで、もう再勧誘に来たのだろうか。いや、それはありえない。それほどに気短な少年には見えなかったし、何よりも感じる視線は複数ある。
戦いたくてウズウズしているような気配が2つ、さらにバケモノの気配が一つ。明らかにタケルにのみ隠すつもりのない、フェイトの気配が一つ。そして、もう一つ。あるようなないような、他の気配があったおかげでタケルでも気付くことができたソレ、微弱にそして巧妙に隠してある気配が一つ。
彼等の目的として考えられる最も大きな可能性。それは近衛木乃香とネギが持つ親書の奪取。
「……4人と一匹」
一瞬だけ、戦うかどうかを考え、直接自分に向けてのものではないのでやめておこう、と判断。どうせ今日はネギと一緒に過ごすことになるのだから相手がかかってきてから戦っても問題ないだろう。
「ん?」
他人事のように考えているタケルだったが、急にぐいと腕を引っ張られて少しだけバランスを崩しそうになった。
「先輩もウチらと一緒に撮ろー」
どうやらみんなでプリクラを撮るようで、「早く早く〜」と急かされていた。
「……え、いえ、私は別に」
同じように木乃香に腕を引っ張られている刹那が恥ずかしそうに遠慮している。
そんな彼女たちの姿を見ているとタケルも穏やかな気持ちになるらしい。彼にしては珍しく即座に
「ああ」
「ほら、先輩も頷いてるえ〜」
「……いや、それとこれとは」
なかなか頷こうとしない刹那に、タケルも「ほら、桜咲さんも」と刹那の背中を押す。結局強引に三人で撮ることになったのだった。
真ん中に木乃香。写真左に、照れている刹那の少しだけ焦った顔。右にはタケルがその情けないような地味な顔を無表情に。
「……」
それでも、それは確かに、彼にとっての写真だった。
「ほらこっちこっち〜、みんなここにいるえ」
なぜかゲームセンターゾーンで集まっている彼女達。そんな屈託なく笑顔を振りまいている姿にホッと息をついたときだった。
それは突然に、だがいつものようにやって来た。
ゾクリ。
背筋を襲う強烈な悪寒。
「っ!」
――アレだ。
「アニキ、姉さん、それに旦那。チャンスですぜ、今のうちにゲームでもやって――」
「――
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