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八条学園怪異譚
第四十五話 美術室その十二

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 二人で下手を出て来てだ、こう言ったのだった。
「ここも違いました」
「そうでした」
 こう話すのだった。
「残念ですけれど」
「ここじゃなかったです」
「ですから次行きます」
「そうさせてもらいます」
「そうか、ではな」
 日下部が二人の言葉を受けて頷いた、そして。
 二人にだ、こう言ったのだった。
「ではこれからどうする」
「今日ですね」
「今日のことですね」
「そうだ、どうする」
 二人に問うたのはこのことだった。
「帰るか、どうする」
「そうですね、今日は休肝日にしようとも思ってますし」
「これで」
 二人も日下部にこう返す、そしてだった。
 あらためてコキイネンに顔を向けて一礼してから言った。
「今日は有り難うございます」
「お世話になりました」
「いえいえ、こちらも楽しい時間を過ごせました」
「楽しいですか」
「そうだったんですか」
「久しぶりに若い娘さん達とお話が出来ましたから」
 それが楽しい時間だったというのだ。
「楽しかったです」
「だといいんですけれど」
「先生も楽しんでくれたのなら」
「はい、ではまた」
 コキイネンは笑顔で返した。
「お会いしましょう」
「はい、こちらこそ」
「またお願いします」
「それでは」 
 こうして二人はコキイネンと快い別れの挨拶をしてそのうえで別れた、そうして日下部に案内されて校門に向かう二人だったが。
 その帰り道にだ、聖花はふとした感じで日下部にこう言ったのだった。
「あの、先生ですけれど」
「コキイネンさんか」
「はい、お髭生やしておられますけれど」
「ユダヤ系だからな」 
 それでだというのだ。
「髭を生やしておられるのだ」
「だからなんですね」
「サムソンもそうだがユダヤ教で髪は髭はな」
「切ったり剃ったりはですか」
「しないんですね」
「そうだ、しないものだ」
 本来はそうだというのだ。
「イスラムにもそれは残っている」
「だから先生もですか」
「お髭を生やしておられるんですね」
「そうだ」
 まさにその通りだというのだ。
「だからだ」
「じゃあ他のユダヤ系の人もですか?」
「お髭を生やしておられるんですか」
「それで髪の毛とかもですか」
「のばしておられて」
「そうですね、多いですね」
 コキイネンもこう二人に答える。
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