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空を駆ける姫御子
第四話 〜アスナが勧誘されるお話 後編【暁 Ver】
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。例えそれが世間では間違っていると言われたとしても。私と『ボブ』は、アスナの味方です。どんな事があっても。アスナが、またいなくなってしまうのは寂しいですが」

「……ごはんはちゃんと食べる事、洗濯と掃除は毎日する事、パンツは毎日とりかえ」

「わかりました。必ず守ります」

『アスナ、大丈夫だ。桐生の健康管理は私がする』

「……お願い」

 桐生は二人の会話に苦笑する。

「あの、さっきから気になっとったんですが……この声誰ですか?」

「ああ、なんと言えばいいんでしょうか。環境AIとでも言いますか。厳密には違うんですが。本体は地下の『工房』にあります。家の管理や家人の健康管理、『仕事』の補助をやって貰っています。アスナに関して言えば、デバイスの管理と制御、戦闘のサポートも仕事です。『ボブ』? ご挨拶を」

『初めまして、ミス・八神。桐生やアスナからは『ボブ』と呼ばれている。これからはあなたと話す機会もあるだろう。アスナ共々宜しく頼むよ』

「これはご丁寧に。随分、流暢に喋りますねぇ」

「ええ、まぁ……アスナ、どうしましたか?」

 アスナは桐生の声も耳に入っていない様子で、はやてを見ていた。桐生にはわかる。恐らく、ティアナとスバルにも。これは──── 新しいおもちゃを買って貰った子供の目だ。

「……はやては、ちっちゃいな」

「ちっちゃないわ」

 無言で見つめ合う二人を見て、スバルは両手でお腹を押さえ俯いており、ティアナは口元を抑えて顔を横に向けている。二人とも肩が震えていた。はやてはティアナとスバルを睨むと、アスナへ聖母のように微笑みかけた。彼女は大人なのだ。

「あんな、アスナちゃん。小さい人に小さい言うたらあかん……ちっちゃないわ!」

 ティアナとスバルは、今度こそ失笑した。






「ほな、一週間後に迎えよこします」

 そう言ってはやては桐生家を後にした。忙しなくなってしまったが、有望な新人──── 少しばかり変わってはいるが、恐らくは即戦力である彼女を確保できて上機嫌だった。だが……気になることがあった。彼──── 桐生が『日本人』であったこと。日本人であると言う事はこちらへ『飛ばされて』来たと言うことに他ならない。……次元漂流者。しかも、アスナの容姿は明らかに東洋系ではなく西欧系だ。

「……二人の身元を詳しく調べる必要があるなぁ」

 次元漂流者であった場合、正規の手続きを経ているのであれば、必ず『記録』がある筈である。もし、ない場合は……保護対象者だ。場合によっては────

「八神部隊長? どうかしましたか?」

「ん? いや、なんでもないわ」

 風が吹き彼女たちの髪を踊らせる。丘にある大きな木は、来たときと同じく彼女達
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