第四話 〜アスナが勧誘されるお話 後編【暁 Ver】
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方次第というわけですか?」
「視点を変えるだけで、姿が変わるものもあるということですかね。……八神さんから『見て』管理局はどうですか?」
そう問われたはやては、暫し考え込んだ。
<ねぇ、ティア。どういうこと?>
<簡単な思考誘導よ>
<思考誘導?>
<そう。『本物か偽物か』って話をしたのはその為。これで、八神部隊長は誰でも知ってるようなクリーンなイメージの管理局を語るわけにはいかなくなった。色々な角度から見た上で、管理局をどう思ってるのか話せってことね>
「……正直に言えば、管理局のような大きな組織にいる人達の意思統一は難しいですし、お恥ずかしい話になりますが、自分の権限を私欲に使う人も少なからずいます」
「それは一般企業でも変わりませんからね」
「ですが。それを正そうと日々、闘っている人達も大勢いることは確かです」
「八神さんはそれを認識した上で、正そうとしている側の人間と思って構いませんか?」
「はい、そう思って頂いて結構です。私と桐生さんは今日初めてお会いしたわけですし、簡単には信用して頂けないというのも承知してます。ですが……せやけど、家族守るんは当然やと思います」
「家族、ですか」
「はい。……私の考えはおかしい言う人もいます。上下の関係さえきちっとしとったら、そないなもん必要ない言うて。せやけど、私は弱い人間です。今日まで私を支えてくれたんは、ある日突然できた家族やから。もし、彼女がウチに来てくれるんやったら、私の全責任を持ってお預かり致します」
そう言って、はやては。八神はやては桐生へと頭を下げた。幼い頃。病気はもう治ることはないのだと諦めかけていた頃。星に願いを掛けてしまうほどに──── 彼女は一人だった。食事はデリバリーで温度が高いだけの『冷たい』料理。自分以外の声が聞こえない家。車椅子から誤って転げ落ちて──── 情けなくて、寂しくて。何度泣いたかわからない。彼女の『家族』に対する思いと羨望は、紛れもなく幼い頃の孤独からであった。
「アスナの意思を尊重しますが……私から条件があります」
「条件、ですか?」
はやては桐生の表情を見て気を引き締めた。先ほどまでの穏やかな雰囲気など微塵もなかったからだ。
「まず、アスナは『ここ』から通えるようにして下さい。それに加えて、彼女が希望すればいつでも帰宅できるように。それとアスナが使用しているデバイスですが、管理とメンテナンスは私がやります」
「ちょ、ちょう待ってください。それは……」
はやてが慌てたのも無理はない。要は、勤務時間を自由にしてデバイスには一切触れるなと言っているのだから。部下や仲間を『家族』と言い切る彼女でもそんな条件を呑むわけにはいかない。
「問題あり
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