第四話 〜アスナが勧誘されるお話 後編【暁 Ver】
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のパンフレットと、急遽制作されたのであろう資料の内容は、桐生が半ば予想していた通りの個人が調べようと思えば調べられる程度の物であった。簡単な設立の経緯や任務内容、目的。要となっている部隊員のパーソナルデータが載っていたのは予想外だったが。だが、『高町なのは』や『フェイト・T・ハラオウン』は頻繁に『表』で見かける人物であった。恐らくは管理局の『顔』としての役割もあるのだろう。これは一般企業でも良く使う手で違法なことではないし、珍しくもない。何せ、桐生でも管理局と聞けば二人の名前を思い浮かべるほどだ。
桐生が一つだけ気になったのは、借りてきた猫のようになっている目の前の三人も含めて、平均年齢が随分と低いことだった。八神はやてが『そう』だと決めつけているわけではないが、彼はどうしても思い出してしまうのだ。『あの世界』で幼いアスナを利用していた連中を。
八神はやては、内心ひどく緊張していた。
『八神部隊長とお話しするのはアスナのお兄さんだと思います。アスナは交渉事にはまるで向いていないので。お兄さんは何と言いますか。一言で言えば油断がならないと言いますか、胡散臭いと言いますか。相手の表情や目の動きと仕草。後は、言葉尻などから『裏』を読むのが得意な人です。丁寧な態度と言葉遣いに安心すると痛い目を見ます』
まるで詐欺師そのものではないかと思いながら、はやては紅茶のカップに口をつけ、ふと桐生を見た。先ほどまで資料を見ていた手は止まり、眉間にしわを寄せている。はやてが何となく居心地が悪くなっていると桐生は見ていた資料から顔を上げ、はやてに問いかけた。
「違っていたら大変失礼ですが、『八神さんは日本人ですよね?』」
「え? ……あ、日本語。『はい、そうです。名前でわかりますよね。なのは……高町一等空尉もそうです。桐生さんもですよね』」
『ええ。東京に住んでいました。出身は北海道なんですがね』
『いいですね、北海道。まだ、一度も行ったことないですけど』
「あ、『ミッド語』に戻して結構ですよ。すみません、特に意味は無かったんですが……同じ日本人と話したのは久しぶりでしたので、つい。それでは、八神さん。……オリジナルと寸分変わらないコピーは本物なのか、偽物なのか。どう思います?」
「は?」
はやては本筋とは全く関係のない質問に目を白黒とさせた。助けを求めるように隣にいるティアナへ視線を向けると、彼女はまた始まったかとでも言いたげな表情をしていた。
「本物と全く変わらないのであれば、本物だと思いますけど……」
「確かにそうかもしれませんね。ですが、オリジナルからコピーしたという事実がある以上、偽物とも言えるんじゃないでしょうか。オリジナルが既に存在していなくても」
「……見
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