第四話 〜アスナが勧誘されるお話 後編【暁 Ver】
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あたしとスバルは最初こそ難色を示していたが、手伝ってくれなきゃシグナムのちょっといい話をプレゼントと言われたらあたしとスバルに首を縦に振る以外の選択肢などあるわけがない。
「ほら、二人ともはよう乗りい」
アスナの家に向かっている車中で、彼女が「アスナの事を教えて欲しい」と言った。自分が知っているのは二人から聞いた話とデータ上の彼女しか知らないからと。話し合うまでにもっと彼女の事が知りたいと。アスナの何が、彼女の琴線に触れたのかはわからないが、正直にあたしは答えた。
「話し合い……の前に会話が成立するかどうか……」
「え。珍獣かなんかなん?」
「それに近い物はあります」
「うそん」
「あたしやスバルとまともに会話……と言うか、『あれ』が会話と呼べるのかはわからないですが。とにかく一ヶ月以上かかりました」
「…………」
「根性ですよ、八神部隊長! 根気よく話せばきっと心を開いてくれます!」
「……スバルは前向きやなぁ」
あたしはスバルの体育会系全開の言葉に苦笑する。
「ですが、スバルの言った事はある意味正解でもあります。『人と違う』と言う理由だけで、彼女を避ける。……そうやって彼女の上っ面しか見ないから、彼女の優しさや才能に気づかずに「こいつはダメだ」と言って突き放すんです。そうして彼女は一人になるんです。何でも言う事を聞いて、強い人間が欲しいならロボットでも作ればいい」
そうあたしは吐き捨てた。そして──── 自分が何を言ったのか理解する。
<ご、ごめん……スバル>
<大丈夫。気にしてないよ。『知ってる』でしょ?>
<うん……>
<だから……そんな顔しないで、ティア>
あたし達の樣子を怪訝に思ったのか、八神部隊長が声を掛けた。
「二人ともどないしたん?」
「いえ、なんでもありません」
「そうかぁ。うん、まぁ二人から話聞いて変わった子やってわかっとったしな。今更や。後、何かないん? 何でもええんや。好きなもんとか」
「好きなものは……甘いものですね、特にプリンが。プリンで生きていけると言ってましたし。偏食が多くて肉は殆ど食べません」
「ベジタリアンなんか?」
「いえ、野菜も嫌いです」
「普段なに食べとるんやろ……」
「魚が好きみたいですよ。焼き魚なんてホントに綺麗に食べますね。あとは……」
「どないしたん?」
「いえ」
一日中ありんこの行列を眺めていられるほど、虫が好きと答えても微妙な顔をされるだけだ。それに──── 虫と意思を通わせることが出来るなどと言っても、信じてはくれないだろう。これに関しては、ごく限られた人間しか知らない。アスナが何枚か持っ
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