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IFのレギオス そのまたIF
糸の紡ぐ先
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うと。ですから名前が、その」
「そうか。立派な話だ」

 色々と複雑な事情があるらしい。だが、呼ぶ名があればそれだけで十分だ。細かい事情はどうでもいい。
 もしかしたら本当の親が探している可能性もあるが、今更というものだ。焼け死んでいたよりはマシだろう。気にしてどうにかなるものではないならば忘れた方がいい。
 明日来る時間を告げ、メイド達に背を向ける。途中、落とした煙草を鋼糸で細切れにして部屋へと戻る。
 
 戻る途中、廊下で立ち止まりガラスの向こうの世界を覗き込む。来る時あった空虚はさほど感じていなかった。窓の向こうに、瞳に映るのは荒野ではなくガラスに写りこんだ己の顔だ。遠くではなく近くに映ったそれは、いつもと同じはずなのにどこか楽しげな表所を浮かべているように思えた。
 どうやら己はまだ、この都市を出ずに済むらしい。


 胸に宿った熱への期待を抱き、部屋へと向かっていく。
 まず何をするか。何を教えるか。どこから教えられるのか。あの年頃に、どこまでなら教えていいのか。

 初めて、明日が早く来ることを願った。

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