第107話
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「各艦の制圧は考えるな!
どの道、数では圧倒的に負けてるのよ!
こちらは相手の核だけを潰す事を考えれば良いのよな!」
「旗艦・・・・「アドリア海の女王」は!?」
上条は周囲を見回すと、数百メートル先に他の船よりさらに巨大な艦が見えた。
しかし、その間だけでも一〇隻以上の氷の船が立ち塞がる。
「艦から艦への橋はこちらで作ってやる!
とにかくお前さん達は旗艦へ」
建宮の叫びに別の声が重なった。
まるで館内放送のように広がっていく、女性の声だった。
「第一九、三二、三四番艦の乗組員は至急退避を、間に合わないなら海へ!
これより本艦隊は前述の三隻を一度沈めたのちに再構築し直します!!」
「くそ!!
また船ごと潰し気よな!
急げ!!」
建宮は紙束を辺りにばら撒いた。
それは勢いよく膨張すると、氷の船から船へと伸びるアーチ状の木の橋へと形を変えていく。
しかしそれを渡る前に周囲から砲撃がきた。
砲弾そのもの以前に、発射音の衝撃波だけで上条は甲板の上に転びそうになる。
いくら、麻生が撹乱しているとはいえ、全ての「女王艦隊」を相手にする事はできない。
その場合は個々で切り抜けないといけないのだ。
「くっ!?」
舌打ちするだけの時間も惜しい。
巨大な船のあちこちが土のように崩されていく。
ボロリと剥がされた船壁が海に落ちて、太い水柱が上がった。
甲板の上まで水飛沫が飛んでくる。
砲撃によって両手で抱えられないほど太いマストの柱が一撃でへし折れた。
「インデックス!!」
上条は近くで身を竦めていたインデックスの手を引っ張って倒れつつあるマストの下をくぐるように走る。
柱が横倒しに倒れ、そのまま隣の船へと続く橋のように伸びている。
上条は迷わず飛び乗った。
建宮を始めとした天草式の連中は自分達で用意した木の橋に乗って他の船へ散り散りに移っていく。
インデックスの手を掴んで海を渡り、隣の船へと転がるように移る。
後ろを見ると、同じように天使の杖を抱えたオルソラがマストを伝ってこちらの船へ到着した所だった。
オルソラが持っている天使の杖は元はアニェーゼが使っていた杖だ。
「法の書」の事件の後、天草式は回収したらしく、武器を持っていないオルソラの手に今はある。
第二波のの砲撃を受けた氷の船は斜めに傾き、引きずられるように海へと落ちていく。
「とうま、他のみんなは?」
ほとんどは天草式の用意した木の橋を使ったようだが、何人かは海へと飛び込むのを見た。
思わず奥歯を噛む上条に、横にいたオルソラは言う。
「彼らは橋やハシゴを作る札の術式を持っているのでございます。
勝算があるからこそ、一度海へ向かおうと判断できたのでございましょう。」
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